ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

地域おこし協力隊も2年が過ぎました。2年目にやってきたことと、活動の中で見えてきた「自分の立ち位置」と「地域で生きる」ということ。

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僕が敬愛する96歳のおばあちゃんと…。

 

2年という時間は、人生80年と言われる中では本当に短い。

ども、田口(@tagu_h1114_18)です。

 

時が流れるのは早いもので、鶴岡市地域おこし協力隊になって2年が経過しました。

 

僕はその中で、ステキな人たちに出会い、人生論や死生観を学び、生きるために必要な技を少しずつ学び、自立に一歩でも近づくための新たなチャレンジをしてきた。

暮らす場所が変わるだけでこんなにも人生が変わるなんて、2年前の僕は思いもしなかったです。

 

一応、一年目の年度末に計画した二年目の未来予想図も作っていました。が、2年目が終わってみると、計画とはまるで違う動きをしてしまっていました。

参照:地域おこし協力隊になって1年。何一つ成果を上げていないが、活動する中で一番大切なことを見つけました。|ひろろーぐ

参考:地域おこし協力隊2年目の僕が取るべき立ち位置。年収○○○万円を目指して…|ひろろーぐ

それでも、やってきたことに反省はあっても後悔はない。と、思える日々を過ごせたのはひとえに大鳥の人達、市役所の人達、僕の友達でいてくれる人達のお陰。

いつもありがとうございます。

 

さてさて、協力隊でいられるのもあと1年弱。

大きな花火を打ち上げるつもりは今のところありませんが、僕は僕らしく、最終年度を全うしたいと思う。

 

今回は、2年目のやってきたこととその反省をお話したいと思います。

少しでも、地域おこし協力隊を目指す人や全国にいる現役隊員の参考になれば嬉しいです。

 

せば、まいりましょう。

 

2年目にやってきたこと

自給

・お米作り

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機械をできるだけ使わないことをテーマに掲げ、お米作りをやりました。なぜなら、「自分が食べるくらいのお米は、お金をかけて機械を買ったり借りたりしなくても、土地と水があれば作れちゃうよー!」ということを言いたかったから。

具体的には、稲の手植え、手刈り、天日干しを手作業でやりました。土起こしはトラクターで、脱穀はコンバインで、田んぼ周辺の草刈りは草刈り機でやった。苗は農家さんの手伝いをしつつ、労働の対価として苗を貰って使いました。

現実的に考えて、土起こしは牛や馬がいないとかなりキツイし、脱穀は千歯こぎがありますが、これだと結構な時間が掛かるらしい。「千歯こぎで脱穀したい!」と申し出たのですが、地域の人に猛反対されたし、その時は時間をかけて脱穀をやる余裕がありませんでした。昔は冬仕事で脱穀をやっていたというし…。そんな経緯で脱穀もコンバインになったのですが、一回くらいは千歯こぎでやってみたい。

今のところ、機械を使わない米作りにはまだまだ遠いのですが、苗作りや千歯こぎあたりから少しずつ自分の手でやれる幅を増やしていきたいなと思います。

参考:自分が一年間に食べるお米の量を知れば、機械が無くてもお米が作れるよ。2050年に世界的な食糧難になるかもしれんが、そんなの関係無しにお米くらい自給したほうがいいんじゃない?|ひろろーぐ

 

・野菜作り

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野菜作りにもチャレンジしました。苗から買ってしまっては、普通にスーパーで野菜を買うのとそう値段は変わらないという情報を聞き(勿論、モノにも寄るのでしょうが…)、自分で購入したのは全て種から。

植えたのはきゅうり、なす、じゃがいも、とうもろこし、枝豆。

収穫が怠慢で、畑をほったらかしにしていたらきゅうりは太りすぎて棍棒みたいになるし、枝豆に至っては植えたまま放置して収穫すらしていない。とうもろこしは収穫直前にカラスなどの野生動物に荒らされて収穫ゼロ。なすは水をあげるのをサボって枯らしてしまう始末。

その中で、唯一モノになったのはじゃがいものみ。地中に埋まっていて、猪なども出ないため、ちゃんと収穫ができました。しかも育てるのが超簡単。植えたら収穫まで放置。水も一回もあげていません。けれどちゃんと育つ。じゃがいもは素晴らしい…。

畑をやってみて思ったのですが、毎日とまではいかなくても、天気を見ながらちょこちょこと様子を見てあげなければいけないことに、自分の性格や働き方があまり合っていないようでした。僕はやらないとわからないバカなんです。借りた畑を荒らしてしまってすみませんでした。

マメに畑を見ない自分の性格を考慮し、今年は規模をかなり縮小し、野生動物に食べられにくい&極力手間がかからない野菜を選び、迷惑をかけないように畑をやります。

 

・狩猟・熊狩り

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狩猟は経験できて本当に良かった。初めての熊狩りで死にかけてからというもの、死生観がひっくり返るし、冬山に一人で入り、獲物を探したり、たたずんだりするのが楽しいと気づきました。

参考:狩猟デビューで本当に死にかけた。~マタギの世界はめちゃくちゃ厳しい!命懸けの熊狩りに参加してきました!~|ひろろーぐ

参考:マタギと共に、狩猟の最高峰である熊狩りに行ってきました!~トラバースしている時に強烈に感じた”今”という瞬間~|ひろろーぐ

そして、自分としての初獲物であるウサギが獲れた時は大コーフン!一人で雪山で叫んでいました。自分でお肉が自給できるというのはホント、良いですよ。ハンターとして、マタギとしてまだまだ未熟ですが、少しずつ野生動物のこと、狩りのこと、冬山のことを覚えていきたい。

参考:マタギ見習いの狩猟日記VOL2 初獲物はウサギさん。解体しておいしくいただきました♪|ひろろーぐ

あと、タヌキとウサギの毛皮の鞣しにも挑戦しました。今のところ一銭にもなっていないのですが、少しずつ鞣すことに慣れている感じがします。なめし業者の鞣し技術には到底及ばないですが、ちょっとでも何かに加工できるような毛皮を作っていきたいです。

余談ですが、狩猟と農耕の両方をやってみて僕はどちらかというと狩猟民族なのかな~って思いました。

 

ナリワイ

・ワークショップ・イベント ほどほど電力時給を目指す会(ほど電)・もちもち大学

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人生で初めて、ワークショップを催しました。

酒田に住む小松夫妻を中心とし、共同でほど電を立ち上げ、ミニソーラー自作ワークショップや、ロケットストーブ自作ワークショップなどを行ってきた。

 

ワークショップという言葉はよくよく聞くようになったけど、参加すると実際やるのとでは全然違います。

『作り方』のノウハウの資料を準備したり、現場で実際に教えながら作ってもらうことは勿論、参加者同士が話しやすくするような雰囲気を作ったり、働きかけをする。「いきなり電気やガスを使わずに暮らそう!なんてことは言えないけれど、できることから少しずつ、石油や電力会社に依存しないような暮らしを取り戻していこう…」というWSのテーマに少しでも共感してもらえるようなお話もする。

参加者の満足度を高めるために様々な仕掛けを準備しなきゃいけない。

 

ワークショップ、簡単じゃないです。ナリワイ、簡単じゃないです。

けれど、経験してきて良かったと思う。

いざ、自分がイベントを企画しようと思ったときにも、経験してきたことが武器になるから。

参考:ミニソーラー自作ワークショップを開催したよ!~ワークショップの準備⇒開催に至るまでのポイントも僕なりにまとめてみました~|ひろろーぐ

参考:庄内に市民大学が誕生!もちもち大学(通称:もち大)で先生として狩猟のお話をしてきたよ!|ひろろーぐ

 

・物販

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山菜、キノコクルミやお米を販売してきました。

山菜においては、既に地域の中で主力製品(ワラビやゼンマイ)として今も動いているため、販路を変えるとは言え、値段を動かすのが本当に難しいと感じた。

参考:地域の主力産物を流通させようとすると生じる超意外なシガラミにイノベーションのジレンマを感じるけど、それでも前に進むべきだと思う|ひろろーぐ

 

お米については、天日干し乾燥ということもあって1kg500円で販売したのですが、ありがたいことに10kg以上売れました。

米どころ庄内でお米を売るのは本当に難しいのですが、フェイスブックなどで僕がお米を育てる経緯を知ってくれた人が中心で買ってくれました。

お米はたくさん作っているからものすごい競争なんだけど、お米の作り方を知っている人は意外に少ない。大規模農家が増えている反面で、米作りに携わっている人が少なくなっているんだと思います。僕みたいなズブの素人がやる手植えに参加したいという人がいるくらいなもんですから。

作っている作業工程を伝えたり、実際に体験してもらうことでお米の販売に結びつけていくことは可能なのかなぁと感じます。

 

・草刈り、雪下ろしなどの地域のシゴト

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地域の中でも割のいい仕事はあります。

大鳥だと、草刈りと雪下ろしあたりが割の良いお仕事。草刈りといっても、普通の草刈じゃなくて登山道の草刈り。これは2泊3日で山小屋に泊まりながら行うのですが、手当もついて4万くらいになるんですよね。
それに、雪下ろしは身体的なリスクもあることもあって、一回辺り1万円が地域内での相場。
半日で終わることもあれば、一日かかることもあるけれど、一日で一万円稼げる仕事はそうそうないのでありがたいっす。

参考:-考察-雪国で稼ぐための10の冬仕事。|ひろろーぐ

 

メディア

・ブログ

月10本を目標に、記事を書きためてきて今では200記事を超えました。

月間では3万~5万PVとなり、イベント告知をすれば参加してくれる人がいたり、「ブログ読んでいますよー!」と声を掛けて貰ったり、お問い合わせのメールもちょこちょこ頂いたりして、このブログを継続的に見てくれている人が増えているんだなと実感します。

また、Google Adsenseやアフェリエイトを始めてメディアとしての収益化を図ったり、家計簿シリーズを始めてみました。

多い時で月15,000円も稼ぐことができ、ブログに可能性を感じ始めた…と思ったら最近はPV数も落ち着いてきて、あんまり伸びていません。

 

けれど、今思えば、子供の頃から書く事は好きだったし、今も好き。ついでに言えば、僕のおじいちゃんも書くのが好きな人。

数字に一喜一憂せずに、自分の原体験を元に記事にしていくスタンスで長く、深く読まれるようなブログにしていきたいです。

 

・タキタロウ調査

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2014年9月に地域の人と行った、30年ぶりのタキタロウ調査。

インターネットでの調査員の募集からスケジュール作成、機材借受の段取りから、調査の3日間、そして調査後のメディア対応、報告書の作成まで。最初から最後まで携わりました。

2014年下期は本当にタキタロウだらけの日々だった。

参考:30年ぶりに伝説の巨大魚、タキタロウを追う!大鳥池・タキタロウ調査のメンバーを大募集!|ひろろーぐ

参考:タキタロウ調査2014”の報告書が完成!報告書がダウンロードできますよ!|ひろろーぐ

 

募集の記事で、かつてないほど多くの人にブログが読まれたし、調査を終わってみればまさかのヤフーニュースのトップになっていた。

ここまでは良かったのですが、その後に新聞やテレビ、雑誌の取材のラッシュがあって、取材者と地域の人の中継ぎとして事務局的な動きをしていたのですが、件数も件数なだけに、個人的にかなりキツかった。

けれどそんな中で、一生懸命、取材の意図を伝えてくれたり、身銭をきって地域のイベントに参加してくれたり、映像のDVDを送ってくれたりする。

そんな人と一緒に仕事ができて良かった。

残念ながら取材にまで至らなかった企画もいくつかあったけど、時間を割いてわざわざ企画を考えてくれただけ、本当にありがたいと思う。

 

あと、自分個人として取材され、メディアに出ることも多かった。普通では中々味わえない体験だと思う。

テーマは地域おこし協力隊、ナリワイ、狩猟が多かったかな。

 

けれど僕は大鳥の地域おこし協力隊なのに、地域の仕事を手伝わず、取材にばかり時間を割いていると地域の人言われたこともあった。

「他にやることがあるだろ…」って。

 

ほんとその通りだよなぁ…って心底反省した。

地域の何か商品を売り出すわけでもなく、ただ自分の顔だけが売れていく。

自分自身として何かスゴイことを成し遂げたわけでもないのに…。

そんな自己矛盾を感じ、協力隊でいる最終年度はメディアに出るのもなるべく控えようと思っている。

 

メディアに出たから成功者になるわけでもないし、メディアに出たからスゴイ人になるわけでもない。

たくさんのメディアに出る中で、そんな頭で考えたら当たり前のことを知ることができただけ良かったのかなと思います。

 

終わりに…

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2年目はとてもとても濃い時間を過ごし、学んだことも、反省することももっとたくさんありました。

身体を動かすとともに僕の意識が劇的に変わった一年だったし、大鳥で暮らせば暮らすほど、大鳥の人に生かされていることを強く感じる。

大事なのは暮らしであり、それに付随する金銭的な稼ぎなのかもしれない。

けど、それよりもっと大事な、人のために動くこと、責任をもってやること、主体的に動くということ、共に汗を流すということ。

当たり前のようだけど、中々出来てこなかったことを改めて僕は大鳥で学びました。

僕はまだまだ未熟者である。

大鳥の人と一緒に活動し、大鳥のこと、山のことを知れば知るほど知らないことがたくさん出てくる。

目の前に広がる世界は有限なのだけれども、無限に広がっているように見える、"見えていない世界"は僕をとてつもなく惹きつけるるし、大鳥でまだまだやることがあるな…と感じさせる。

 

それもこれもすべて、大鳥の人たちが人間的にとてもステキな人が多く、よく動く人たちだからだと思う。自分の時間も、お金も、他人と分け合える姿勢が日常に溢れている。

 

良いことばかりじゃないけれど、それでも愛せるのは、地域の人の"形なき想い"というのが僕の中にも少しずつ、根付いてきたからかもしれない。

非日常のステージで華やかに見える人よりも、日常でコツコツと頑張っている人が好き。

 

欲望に任せて黄金時代を築くよりも、したたかに日常を創る暮らしが好き。

そんな暮らしを、あと何年かかるだろうかわからないけど、自分でも作っていきたいと思う。

 

さて、次回の記事では最終年度に僕がやりたいことをお話していきたいと思う。

 

3年間限定の地域おこし協力隊の最終年度で、どんなビジョンでどんなことをやるのか。

協力隊が終わった後はどんなイメージをしているのか。

そんなことをお話していきます。

 

せば、またの。

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