マタギ見習いの狩猟日記VOL2 初獲物はウサギさん。解体しておいしくいただきました♪
2015/02/02
この記事では、ウサギの解体の写真など生々しい写真を掲載しておりますので、抵抗がある方は記事を読まないことを強く勧めます。
ども、新米漁師の田口(@tagu_h1114_18)です。
今年の11月から猟が解禁になったので本格的に狩猟を始めたのですが、どうにもこうにも空振りばかり…。
前回の狩猟日記:マタギ見習いの狩猟日記vol.1 狩猟免許を取っても、獣は獲れない。|ひろろーぐ
そんな僕でしたが、なんと単独猟でウサギを獲りました。
大鳥では多い時では4mにも積もる山形県屈指の豪雪地帯でもあるのですが、毎日毎日降り積もっているわけではない。
先週は晴れの日や雨の日が続いていたので、積もっていた雪が少し固まっていてかんじきでも歩きやすい状況でした。
狩猟に出るには良い条件だったので、近所のマタギの方からアドバイスをいただき、近所の雪山の杉林があるところに猟に出かけました。
山に入り始めて5分くらい経った時、ひょこんとウサギが逃げていく姿が目に入りました。
鉄砲をケースから出していなかったし、弾も装填(そうてん)していなかったので、「あぁ~…」と思いながら見送ってしまったのですが、その足跡を追いかけることにしました。
赤丸がウサギの足跡…。
ピョンピョンと跳ねて逃げている様子が足跡でわかります。
急な斜面をなんとかゆっくりと登っていきながらウサギの足跡を追っていくと、たくさんの足跡が出てきました。
どれが逃げた時の足跡なのか、困惑してしまいそうになりますが、新しい足跡と、古い足跡ではなんとなく違いがわかるので、引き続き追跡。
しばらく歩くと、ウサギが休んでいたであろう穴蔵を発見。
にしても、ウサギを含め、足跡の数がハンパない…。
ウサギは木の根っこや、雪がかぶらないところで休んでいるそうで、こういう穴蔵の近辺にはたくさんの足跡がありました。
別の場所の穴蔵。中にもしっかりと足跡がついています。
30分くらい歩いていると、杉林の中でまたまたウサギが逃げる姿を発見。
突発的な出来事で、鉄砲に弾を入れている暇もなく、またまた逃がしてしまう。
ウサギは耳が達者なので、足音や違和感がある物音がするとスグに逃げてしまうんだと思います。
そこから再び追跡。
日の入りまで残り1時間半だったので、少し焦りもあったのですが、雪深く、カンジキを履いていてもズボズボとはまってしまったので思うように歩けない。
10秒に一歩、前に足を出せればいいような感じでした。
もうひと山を超えて、ウサギがいなかったら諦めて帰ろうか…
と、思って山を越えてみると…
いました!
ウサギさんがゆっくりと休んでいます。
距離にして20mくらい。
「十分狙える距離だ…。」
そんなことを思いながらそーっと、銃を肩から降ろし弾を装填しようとしたら
銃口に雪が詰まっている…。
「ヤバイ…」
雪が詰まったら取り除かないと暴発する恐れがある。
指でつついても取り除けなかったので、銃を解体しなければいけなかった。
「こんなことをしている間に気づかれて逃げられたらもうダメだ…。」
そんなことを思いながら、いそいそと銃を解体して雪を取り除き、散弾の2合弾を装填。
奇跡的?にウサギさんが気付いていないのか、逃げなかったので、枝が邪魔にならない位置までゆっくりと移動し、銃を構える。
この時はもう、心臓バクバクでした。
ゆっくりと狙いをさだめ、引き金に手をかけて…
「ドン!!!」
銃声がすると、ウサギは雪の斜面を転がり落ちていった。
「やったーーーー!」
心の中で叫んだ。
一発で仕留めることができました。
初めての獲物です。
こういう事を言うのは多くの人にとってはとても不快なのかもしれないけれど、本当に嬉しかった。
嬉しさがこみ上げてきて、鳥肌が立っていた。
11月以降、狩りにいっては空振りすること4回。ただただ寒い思いをして雪山に入っていた。足跡を見つけることもあって、学びもあったけれど、獲物がとれないのはやっぱり悔しかった。
そんな想いもあったからか、初めて狩りで獲れたのは本当に嬉しかったです。
ウサギは獲れたら早く血抜きをしないと臭くなってしまうのでさっそく解体といきたかったのですが、解体の方法もわからなかったので、袋に詰めて足早に帰りました。
僕の初めての獲物はウサギさん。
地域の人には、「田口に獲られるウサギもいるもんだなぁ…」と冗談半分で言われました。
早速、地元の人に解体の指導を仰ぎます。
片足を紐で釣り、逆立ちしているような状態にぶら下げて解体をします。
ウサギの足から、手でズルズルと毛皮を剝いていきます。
死んだあと、ウサギの体は温かいので、手でも簡単にむけてしまいます。
手足や背中は手で簡単に剝けていくのですが、お腹や頭の部分はちょこちょこナイフを入れてあげないと毛皮が破れてしまいます。
毛皮が剥げたらハラワタ(腸)をとります。
スゴイ…。胃袋や腸に食べたものが色々詰まっているんですね…。
ハラワタが獲れたら、お肉の部分を部分を雪に押し付け、血抜き。
解体完了。
毛皮はナメし用にとっておき、お肉は手足・頭・胴体にナタで切って冷凍保存しました。
けれど、初めてとれた獲物だったし、ウサギのお肉は誰に聞いても「美味しい!」と聞いていたので、記念に腕を食べてみることにしました。
腕はこんな感じ。鳥の手羽みたい。
油を引いて、塩コショウで味付け。
「ジュージュー…。」
鳥の手羽先みたいで美味しそう。
できました。
味付けはシンプルですが、お肉の味をそのまま味わえると思って焼いてみましたが…
これがめちゃくちゃおいしい!
鳥肉より弾力があって、香ばしい…。
言葉でなんて説明したらいいかわからないですが、ウサギは本当に美味しい。
骨にもしゃぶりついてしまいました。
お肉の量は多くありませんが、一頭5000円とかで取引されると聞きますが、その値段にも納得。
地元の人はウサギ汁にして食べるのが定番らしいので、次回はウサギ汁にして食べてみたいなと思います。
終わりに…
どうして、「わざわざ狩猟をしないといけないの?」と思われるかもしれません。
確かに、コンビニでアルバイトして稼いだお金でお肉を買った方がよっぽど効率的だし合理的なのは間違いありません。
鉄砲の弾だって、散弾の2合弾だと25発入りで4000円もするし、鉄砲のメンテナンスもしないといけない。時間をかけて山にいっても空振りすることもある。命を落とす危険もある。
それでも狩猟をすることは、里山保全とか、農業を守るため…とか社会的意義・大義名分は色々ありますが、僕は普通の暮らしの中に狩猟があることがいいなと思っています。
それにお金でお肉を購入してお肉を食べることでは得られないこと…、狩猟・採集を通じて五感を使いながら野生の勘を取り戻したい。直感を磨きたい。そんな気持ちもあります。
狩猟期間になったら時たま山にいって獲物を獲る。それを有り難くいただいて美味しく食べる。
そうやって続けていって、知らず知らずのうちに農作物被害が軽減することに貢献できたらいいなと思っています。
せば、またの。
【狩猟初心者におススメの本】