ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

時間売りしかしてこなかったぼくにとって、月3万円ビジネスは甘くなかった。『地方で仕事を創る塾』に参加して学んだ、3Bizの構想段階で超重要な4つの視点。

2015/01/29

里山で生きる手段として、月3万円ビジネス・ナリワイ的な生き方・働き方を思考して半年が立った…。

 

以前の記事でも、月3万円ビジネスのことは勿論、ナリワイをつくるについても書評がてら学んだことをアウトプットさせていました。

『月3万円ビジネス』が地方の働き方を変えるのか…|ひろろーぐ

ナリワイを作る~人生の盗まれない生き方~の著者、伊藤洋志さんの講話を聴いてきた。起業ほど大げさでなく、バイトよりもカッコいい働き方とは何か?|ひろろーぐ

 

ども、田口(@tagu_h1114_18)です。

地域おこし協力隊としても1年以上が経過し、任期終了が見えてきている。

そろそろ研修や講演で学んだ卓上での理論だけでなく自分で何か事業を実践する必要があるなと思い、具体的に実行していく前段階として地方で仕事を創る塾に2014年6月から参加しています。

 

地方で仕事を創る塾というのは、栃木県那須塩原にある非電化工房を運営する藤村靖之さんが主催する、月3万円ビジネスをメインの題材にしたその名のとおり、地方で仕事を創るための塾。

塾といっても堅苦しいことはなく、藤村先生から競争社会の仕組みや共生社会の考え方、月3万円ビジネスについて深く学ぶと共に、自分の月3万円ビジネスのアイデアを藤村先生を含む参加者全員で共有・ブラッシュアップしながら月3万円ビジネスを生み出せるように頭の中をエクササイズしていくような感じです。平たく言えばワークショップ8割、座学2割といった感じ。

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一か月に一回、それぞれ1泊2日(最終回のみ2泊3日)の全4回構成で、今までに6月・7月と二回の講習を受けてきたのですが、月3万円ビジネスといえどかなりちゃんとしたビジネスだなという印象を受けました。

多くの人に当てはまることだと思いますが、僕自身、時間を切り売りしてお金を稼ぐことしかしてこなかったせいか、提供した価値に対して対価のお金を貰うこと、貰い続けることはそんな簡単ではないということを感じます。

そこで今回は、地方で仕事を創る塾に参加して感じた月3万円ビジネスを作る難しさと、月3万円ビジネスの構想段階で抑えておくべき4つの視点をお伝えしていきたい。

 

自分にもスグにやれそうなビジネスモデルは、誰かが既にやっている。

「自分で事業をやろう!」と考えたことがある人なら、ビジネスプランやビジネスモデルを考えたことぐらいはあると思う。

けれど多くの場合、思いついたビジネスモデルは既に誰かがやっている、もしくはやっていた。

僕の生活の拠点としている里山の中でも、山菜・キノコ採りツアーやハーブのオイル漬けワークショップ、ロケットストーブ作りワークショップ、てんご作りワークショップ、うさぎの解体ワークショップ、米作りワークショップなど、発想するだけでも色んなことができそう…。

 

だれど全部が全部じゃないにしろ、そういった取り組みは言葉やコンセプトは違えど過去にも行われていた。

 

ビジネスアイデアを発想することは凄く大切だしワクワクする。

けれど、それが「簡単にやれそうだな。よし、やっちゃおう!」と思えるビジネスアイデアであればあるほど誰かの事例を自分にインストールしただけであり、誰がやっても同じ内容になってしまう。

 

大事なのはビジネスモデルをインストールした後に、自分なりのスパイスを加え、相手の期待値を超えるモノ・サービスを創出するか…ということ。

 

「そのお金を払ってでも参加したくてたまらない!」状態にするためのナゾ解きをして、ステキ度を上げなければいけない。

月3万円的な発想でビジネスプランを考えてみたとする。

以下は僕が実際に考えて、地方で仕事を作る塾にて発表した月3万円ビジネス。

 

テーマ:自給を促すビジネス

3Biz名:【山菜・キノコ採りツアー&下処理教室】

・概要:山の幸を実際に取りに行き、保存の方法(塩蔵)を学ぶツアーを開催する。

・価格:3,000円/人×6人=18,000円(経費込)

・開催時期:5~6月、10~11月の中で月二回ずつ開催。期間限定。

・費用:塩・パスタ・パスターソースの具材の購入。会場費が別途必要。

・準備:前日に山の幸がある場所を事前にリサーチしておく必要がある。

誰かに取られないようにする工夫も必要。

参加者には漬物樽のようなものを準備してもらう。漬物石は川原で拾う。

山に行けば山の幸がゴロゴロ転がっている。春は山菜や薬草。秋は木ノ実やキノコ。国有林であれば一般の人も採集していい。しかも無料。山の幸を採集し、保存の方法を覚えることで食料の自給&保存食を作ることができる。保存方法について、乾燥品は時間が掛かるので、その場でできる塩蔵とする。

また、採集した山菜・キノコを使ってパスタをみんなで作る。パスタの具材として山菜もキノコも絶妙に合う。

 

この発表をした時に、地方で仕事を作る塾の塾生からは「里山に入って山菜やキノコを採りたい!」という声が上がり嬉しさ半分でしたが、「場所が遠いんだよなぁ~」という声が多かった。

言ってしまえば山菜・キノコツアーは、山さえあれば全国どこででもやっている。

美味しいパスタと地元の人との触れ合い…という要素を付け加えたところで、わざわざ山形県は鶴岡市、その山奥に位置する大鳥に来る理由にまではならない。

ターゲットを近隣の庄内地方や隣の西川町くらいに絞ってもいいけれど、庄内や西川町でも同じような企画ができる場所は五万とある。団体によっては同じようなツアーを恐らく補助金やボランティアありきで参加費1,000円くらいでやっている。

 

そう考えた時に「3,000円掛かるけれど、こんな素敵な企画に参加しない訳がない!」と思えるくらいまで企画を昇華させなければいけない。

 

それがステキ度を上げるということ。

そのためにどんな企画に変えたらいいか、どんな気配りがあったらいいか、どんなサプライズがあったらいいか…といったなぞなぞを一所懸命に解いていき、価格<価値という状態にまで持っていく。

藤村先生曰く、なぞなぞが深ければ深いほど、良いビジネスモデルだそうです。解決するのに苦労する分、参加者に与える価値は大きくなるんでしょうね。

 

とは言え、今まで時間の切り売りしかしてこなかった僕にとって、このなぞなぞを解くのがとても難しい…。

 

僕が個人的に思うおススメの方法は自分が「いいな!」「ステキだな!」と思うイベントやワークショップを主催している人にお願いして共催、若しくはお手伝いをさせてもらうこと。

主催する側の意図や準備、当日の気配りなど、イベントに参加するだけでは見えない部分を知る機会になるかもしれない。

 

僕は以前、酒田在住の小松夫妻と一緒にミニソーラー組み立てワークショップをやらさせて頂いたが、これは本当にいい経験になった。

ミニソーラー自作ワークショップを開催したよ!~ワークショップの準備⇒開催に至るまでのポイントも僕なりにまとめてみました~|ひろろーぐ

小松夫妻のちょっとした気配り、参加者が楽しくなっちゃう仕掛けが会場内に沢山詰まっていた。

 

ちなみに藤村先生からは「このビジネスは文化的な要素、ライフスタイルを提案するような要素が強いため、入口としては狭い…」とコメントを頂き、取り敢えずこのビジネス案は脇に置いておいて、別のプランを考えることになりました。笑

確かに、山菜やキノコ採りは里山に住む人のライフスタイルの一部であるから、街場に住んでいる人が身近に感じられるキーワードではないですよね…。

 

考えた月3万円ビジネスが2年は続けられるモデルかどうか…

藤村先生曰く、自分の考えた月3万円ビジネスが2年間は続けられるモデルであるかどうか…というのが大事な視点だそうです。

確かに、仮に一度は月3万円を稼げたとしても、次の月から全く稼げなくなってしまうようなモデルでは意味がないですよね。

 

さっきの山菜・キノコ採りツアーの例で言うと、

開催時期:5~6月、10~11月の計4ヶ月で、それぞれ月二回ずつ開催するから、年間で8回の開催。募集人数が一回当たり6人なので、年間で48人の参加者。これを2年間やろうと思うと合計96人の参加者が必要。

それだけの見込み客や人を集める宣伝力があるかどうか。

2年間で参加するであろう人たちの合計数が大きければ大きいほど、多くの人が価値を感じるビジネスでなければ成り立たないということになる。

 

仲間ができる空間を共有すること。

ノウハウの伝達だけでは昔の教室と何も変わらない。ネットや本にある情報を仕入れるだけで十分。

そうではなくて、参加者同士が仲良くなるような仕組みを用意して、その後の繋がりにも発展するような気配りが参加者にとって大きな価値となる。

 

地方で仕事を創る塾においてもこの観点はスゴく強いように思えます。

単に藤村先生から座学を聞くだけではなく、事あるごとに学びを小グループで話し合い、共有⇒全体で共有という流れが組まれていたり、一泊二日の宿泊になっていることで夜は参加者同士の親睦を深める機会が設けられている。

参加者は地方で仕事を創ること、月3万円ビジネスに関心がある人ばかりが集まっているので、思考が似ています。

初対面ではあるけれど、簡単な自己紹介や、一緒に月3万円ビジネスについて考えることで徐々にお互いのことを知り、励まし合ったり相談したりできるというのは本当に大きいし心強い。

 

参加者にとって名目上はワークショップでスキルを学ぶことが目的だけど、関心が似ている人と出会い、仲良くなることで、何倍もの価値を感じてもらえるかもしれません。

 

終わりに…

月3万円ビジネスという言葉が生まれたことによって、自主事業に取り組む障壁というのはグッと下がったように思える。

しかし、実際はビジネスとして成り立たせ続けるためには脳みそを鍛えていかなければいけない。仕掛けられて満足していた自分から、仕掛けて満足させられる自分に変わっていかなければいけない。

そういう意味で、人にモノ・サービスを提供して対価を得ることはやはり生易しいことではないように感じる。

 

けれど、ステキにできる要素が思い浮かばないから月3万円ビジネス自体を諦めるか…とはならないで欲しい。

 

できる限りのステキ度をあげる努力は必要だと思うが、自分なりに「これでやろう!」と思った段階でやってしまえばいいと思う。

藤村先生のお弟子さんでもあるナリワイをつくるの著者である伊藤洋志さんも今年の冬に聞いた講話では「最初は赤字を覚悟しておいたほうがいい…。」と言っていた。

経験もないのに最初から上手くいくわけがない。ただ、失敗したダメージを最小限に抑えられるのが月3万円ビジネスであるし、ナリワイでもある。

失敗しても、やった中での実体験であれば自分に反省点が返ってくる。実際の相手と話す中でダメな部分が浮き彫りになってくる。その気付きを一つ一つ修正・付け加えしていく中で自分なりのビジネスが徐々に形成されていくものだろう。

 

そんな覚悟で、僕も自主事業に取り組んでいきたい。

 

ちなみに、地方で仕事を作る塾では僕は12期になるのですが、13期も募集が始まっているようですよ♪気になる方は是非チェックを…。
地方で仕事を創る塾

せば、またの。

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