ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

ナリワイを作る~人生の盗まれない生き方~の著者、伊藤洋志さんの講話を聴いてきた。起業ほど大げさでなく、バイトよりもカッコいい働き方とは何か?

2015/01/29

会社に勤めると、営業なら営業、マーケティングならマーケティング、開発なら開発というように部署に分けられて仕事をするようになりますよね。

僕も会社員をしている時は、電子部品メーカーの営業をしていました。今思えば、自社で扱っている電子部品のことをろくに知らないのに営業していました。

こんな営業マン、ヤバいですよね。笑

 

「同じ分野の事に10,000時間費やすと、その道のプロになる!」とよく言われます。

 

確かにそうかもしれないし、専門家やプロという言葉は、聞こえは良いですが悪く言えば一つの事しかできないということ。一つの柱が、どうしようもない世の中の流れの中で競争に巻き込まれ、仕事が無くなってしまえば、路頭に迷ってしまいます。

 

今回講話を伺ってきたナリワイをつくるの著者、伊藤洋志さんの考え方は、一言で言えば「リスクヘッジに基づく複業のススメ!」です。

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「一つの事もまともにデキないのに複数のことが出来る訳ないだろ!」と言われそうですが、つい60~70年前の人は当たり前のように複数の仕事をやっていました。

伊藤さんは現代のテクノロジー(インターネット)を活用しながら複業を行っている、いわば実験的な活動をしている一人で、ご自身でも収入源が10個くらいあるそうです。(メインで動いているのは5個くらいとのこと…)

グローバリゼーションによって海外の安い労働力との戦いを余儀なくされ、技術の進歩でロボットに仕事が奪われ、年々給料が下がっていく今の日本。

いつ会社が潰れるか、いつリストラされるかもわからない中で、個人として生き抜くために給料などの一つの収入源に固執せず、リスクを分散させていくためのナリワイ作りの考え方、方法論に感銘を受けたのでご紹介していきたいと思います。

ナリワイとは何か?

まずは一番大切な部分なので、誤解を生まないように伊藤さんの著書(ナリワイをつくる)から引用させて頂きます。

ナリワイとは、生活の充実から仕事を生み出す手法である。作戦としては、守りを固めてから攻めるのが、基本である。

どういうことかというと、何よりもまず、支出をコントロールし、無駄な支出を減らす。支出を減らすことで、むしろ生活が豊かになるような工夫を考えて減らす。

~中略~

つまらん支出を見つけてはカットするという生活をしていると、世の中にある大規模な事業に対して矛盾を見つける感覚が磨かれていく。矛盾を見つけたら、その鯨飲はだいたい専業で株式会社的に行っていることにあるから、専業ではない立場ならではの本質的に中身のあるサービスを掲示していく。  

ナリワイを作る~人生を盗まれない生き方 より抜粋

読んで字のごとくなのですが、自分の生活の中で支出をカットしていく中から仕事を発想し、小さな事業をいくつも組み合わせて生計として成り立たせていくことが、伊藤さんの提唱するナリワイという仕事の形。

ナリワイは、以下に挙げられているようなことを特徴としています。

  •  専業ではなく、複業
  • ローリスク、ローリターン
  • 100%のサービスよりも80%のサービス+20%のお客さんの手伝い
  • ロボットとは戦わない
  • 値段は自分で決める(クライアントワークはしない)
  • 一億人を相手にはしない(共感する相手とだけ、仕事をする)
  • 個人で始められる
  • 頑張って売上を伸ばさなくてもいい
  • 即効性に期待はできない。徐々に、じわじわと。
  • 出来ないことはハッキリと断る
  • 企業などの大きな組織ではできないことをやる。

 

個人的に大事だと思う部分を掻い摘んで説明していきますと…

  • 専業ではなく、複業。

会社員として勤めていると収入源は会社のお給料一本。でも、それだとお勤めの会社の業績に全て自分の収入を委ねているような形になるので、会社が潰れたり、リストラに合うと収入源が全て絶たれ、ゲームオーバー。そうじゃなく、いくつか仕事を自分で作り、収入源を複数持つことでリスクを分散させるということ。

  • ローリスク、ローリターン

高価な機械や道具を買わなければいけないような事業にはハナから手を出さない。よくメディアで「借金3,000万をしたけど這い上がったなど」の美談を聞くが、そんなものを真似する必要はない。這い上がれなかったら親に泣きついて資産を売却してもらうか、自己破産の道しかなくなるから。

例えば、アケビのツルを使ったリース作りのワークショップをやるとすれば、ツルは山から拾ってくる。チラシはパソコンで作り、告知はもっぱらSNSとHPなど、広告費がかからない方法で。一人2,000円で設定するとして、10人集まれば20,000円になる。誰ひとり集まらなくてもお金はかけていないので赤字にはならない。

大きな収入にはならなくともリスクは小さいので、事業として継続させることも、途中で諦めることも難しいことではない。

  • ロボットとは戦わない

機械が出来るようなことには勝負を挑まない。コストで負けるのが分かっているから。

人に感動を与えたり、事細かにレクチャーしたり、親身に対応すること、創造することなど、ロボットが出来ないことに重点をおく。

  • 値段は自分で決める(クライアントワークはしない)

アウトソーシングされる仕事を受けることがフリーランスに多いらしいのですが、これも相手に値段を決められてしまうので良くない。どんなに良い仕事をしても、一回いくらと決められてしまっている。そうではなく、自分の仕事の値段を自分で決めることで、無理にお客さんの値引き交渉に応じる必要も無くなる。

  • 個人で始める

一個人として始められる仕事は沢山ある。その辺で開催しているバザーに出店してみることから始めたっていい。空き部屋があるならAirbnbというサービスで宿にしてもいい。Estyで手作り品を売ってみても良い。「草刈りやります!」というビラを高齢者宅にバラまいてもいい。やれば一つくらい仕事がくるかもしれません。

  • 頑張って売上を伸ばさなくてもいい

専業だと、価格交渉をされても仕事が無くなるよりマシだから相手の要求を飲まなければいけないこともあるが、ナリワイ的には元々一つの仕事で食べていこうというつもりがないので、一つの仕事の売上に固執する必要がない。今月この仕事であと10万稼がないといけないという強迫観念が無いので、精神的にもそこまでツラくないだろう。

  • 企業などの大きな組織ではできないことをやる。

伊藤さんのナリワイの一つである、モンゴル武者修行ツアーでは、現地に行ってから集まった人たちと一緒にプランをあれこれと組み立てていくスタイル。一見無謀とも思えるが、ある程度参加者の希望を汲み取る形になっていてかなり好評なんだとか…。

大手旅行会社では支出が現地に行かないとわからない、タイムスケジュールが事前に組めないようなツアーは組めません。

自分の生活の中からお金の出処をしっかりと把握した上で、カットできる支出をカットしていく。その支出のカットの方法を、他人にも応用可能なレベルまで落とし込むことができればそれが一つのナリワイになり得るということ。

そんなナリワイを複数持つことで、自分の生活を十分に成り立たせることが可能だということを、伊藤さん自身が実証しています。

 

ナリワイをする場所は、”田舎”に限らない。

以前、地方でのこれからの働き方として、月3万円ビジネスを提唱している藤村さんをご紹介しましたが、藤村さんは栃木県那須高原の非電化工房を拠点に活動しています。

『月3万円ビジネス』が地方の働き方が変えるのか… | ひろろーぐ

 

一方、伊藤さんは基本的に東京のシェアオフィス(Studio 4)にて仕事をし、シェアハウスで生活をしている。

藤村さんも伊藤さんも、生活を自給させて支出をカットしながら仕事を作っていく、多くの仕事でリスクを分散させるという基本的な考え方は似ていますが、仕事の内容はまるで違う。

 

【伊藤さんのナリワイを一部ご紹介】

・田舎で窯焼きパン屋をひらく
田舎で土窯パン屋を開くワークショップ

・モンゴル武者修行ツアー
2013年のモンゴル武者修行ツアー

・全国床貼り協会
全国床張り協会

 

・遊撃農家イトウ農園
遊撃農家イトウ農園 | 梅ジュース・梅酒を漬けよう!
伊藤洋志 ...

 

・みかん屋

ナリワイ » 【緊急】みかん屋はじめました

 

・studio4
studio4 スタジオ4

 

床貼り、遊撃農家などで生活の自給をしたり、シェアオフィスの運営、モンゴルツアーの案内人をしたりと多様な仕事ではありますが、東京に住みながらも、複数の場所で複数の仕事をしています。

確かに、田舎にいれば土地は安いし畑・田んぼがあるので生活の自給をしやすく、ナリワイの種を見つけることがそんなに難しくはなさそうですが、ナリワイ的にはアイデアや発想さえできれば、仕事をする場所なんて関係ないのかもしれませんね。

 

ナリワイ的視点から、仕事を発想する

では、ナリワイの種を産み出すにはどのような視点を持たなければいけないのか…。

今までに何度かキーワード的に、自給率を高める⇒支出をカット⇒支出をカットする方法を他給するといったプロセスをお話してきましたが、具体例を入れてもう少し詳しくお話します。

生活の中で、無駄に多くのお金を払っていることが結構ありますよね。家賃、光熱費、食費、飲み代などなど…そういった支出を自給してゼロ、もしくは少しでもカットできる方法を探します。

自給率を高めたり、支出をカットしていくと、市場で売られている原価が見えてきたり、違和感・矛盾を感じるようになります。

 

例えば、最近、僕が違和感を感じているのはお米。

国産のお米はスーパーでも当たり前のように売られていますが、安くても10kg 3,500円くらい。でも、農家さんが農協に卸す金額は10kg 2,000円程度。自分で作って自分で消費する程度であれば、更にその半分くらいで済みます。自分が一年間食べる量(60~70kg)を作るのに機械はいらない。手植えで十分。水が引っ張れないといけない、土壌がしっかりしていなければいけないなどの条件は色々ありますが、丁度良い田んぼを借りることができれば、お米を自給できるようになります。これだけで、年間に20,000円くらいの支出がカットできます。

「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、この支出カットの方法を体験ベースで他人にも教えることができれば、収入にも繋がりますよね。

お米は当たり前のように食べるけど、作り方は農家でもない限り知っている人は少ないし、昨今では食品流通の透明性を求められているので、ニーズはかなりあると思います。

 

ナリワイを作っていくまでの注意点

自主事業を行うハードルがかなり低いのがナリワイだということは何度もお話してきましたが、事業を行う上での注意点もあります。

■一番、最初は赤字かもしれない。

⇒伊藤さんご自身が語っていたのですが、伊藤さんの行っているナリワイの殆どが、一回目は赤字だったそうです。ただ、赤字でも耐えうるくらいのリスクの小ささであるということが、赤字でも続けられる秘訣なのかもしれません。

 

■値段設定ではまず、同じようなサービスやモノの最高と最低の値段を見ておく。

⇒ネットで検索したら、大概、似通ったサービスや製品は売られています。そのサービスの最高の金額と最低の金額は見ておく。その価格の範囲内で、自分が提供するモノはどのくらいの価値がありそうなのかを判断し、値段設定をすると良いそうです。

 

■値段設定で迷ったら、自分で思う値段より少し高めに設定しておくぐらいが丁度いい。

⇒ナリワイ作りをやりたいと思う人は、営業成績をめちゃくちゃ上げたいとか、とにかく稼ぎたいというタイプの人と言うよりは、沢山のお金を他人から頂くのに少し遠慮してしまうような人に多いそうです。自分が提供したサービスよりも、低い値段をつけてしまいがちになるので、自分が思う金額よりも少し高めで設定すると良いそうです。

 

■あれこれとサービスを詰め込みすぎると自分の首を絞めるだけなのでやらない。できること、できないことはハッキリさせておく。

⇒初めて事業を試みる時に陥りがちなのが、お客さんに喜んでもらうがためのサービスを準備すること。お茶を出すくらいは良いかと思いますが、豪華なお土産を用意したり、送迎をつけたりすると、その分お金や時間が取られて自分がやりたいことをしっかりと提供できなくなる可能性があります。

伊藤さんが主催するモンゴル武者修行ツアーのHPではその点がしっかりと留意されています。

自然と集まった仲間のやりたいことをその場でまとめていくというワークショップ型のツアーはあまりないように思います。

わたくしがイタコの役割を発揮してますので色々なアイデアをお持ちよりください。

そのかわり、あわただしい観光スポットめぐりはやりません。予定が決まっていないと不安、乗馬など体を動かすことに興味がないという方には不向きなツアーです。

モンゴル武者修行ツアーより抜粋

出来ないこと・やらないことをしっかりと伝えることで、自身が提供できるサービスと、相手(お客さん)が求めることのギャップが解消できているそうです。当たり前のようですが、大切なことですよね。

 

ナリワイ作っていく上で、持っておいた方がよさそうなスキル

自身でナリワイの種を作ったら、情報を周知させる上で、情報発信が必要になります。

そこで、あまりコストをかけずに情報発信する方法を身につけることがナリワイ的には大切なことだと思います。

  • 簡単なHP作り(tumblrやwordpress)
  • 情報発信の基地(SNS・ブログ)
  • 最低限の語学(英語)

ここでは上記のことを細かく説明するつもりはありませんが、月3万円ビジネスの藤村さんとナリワイの伊藤さんの仕事のやり方で大きく違う点は、自身でネットを積極的に活用しているかどうかのところにあります。

藤村さんは発明家で非電化製品を多数発明されていますが、年齢が70代ということもあり、ご自身で積極的にネットを活用し周知させているようには感じません。(非電化工房のHPもお弟子さんが運営しているのか…?) 非電化工房は既にメディアやブログで紹介されまくっているので、発信自体そんなに必要ではないかもしれませんが…

一方伊藤さんは、30代半ばの年齢。バリバリインターネットを活用し、自身のHPを作ったりSNSを活用したりして積極的に情報発信をしています。今の世の中はスマホやパソコンでネットから情報を得るのが当たり前なので、個人で仕事をしていく上で情報発信のスキルは絶対に必要。

地方在住、40歳以下の若者はネットを活用しないと生き残れないかも。| ひろろーぐ

 

まとめ

会社で営業をしていた時に凄く感じたのですが、大きな取引先は神様のように扱われるんですよね。その大口の取引先がこっちを向くか、そっぽを向くかで経営が健全になったり、傾いたりします。基本的に専業なので、その他に逃げ場がないんです。

それゆえに、小さな取引先は社内でもかなりぞんざいに扱われる。まず、「そんなところに仕事は無いので時間を割くな!」と言われていました。

小さな仕事は世間一般では重要視されないので、逆に個人レベルで行うナリワイ的思考で考えればむしろそこがチャンスなように思えます。企業が巨大化しすぎていて、出来ないサービスが沢山あるので…(それが世の中の矛盾にも繋がる。)

 

仕事を作ると言えば、なんか事業化だったり起業だったりと、一部の才能ある人にしかできないようなイメージが湧いてきますが、ナリワイは、起業というほど大げさでなく、バイトよりカッコイイ働き方とでもいいましょうか…。自分で事業をやったことが無い人にとって、新たに事業を始めることのハードルをかなり下げてくれるような気がします。

 

ほんの60~70年前は当たり前のように個人でいくつもの仕事をやっていました。製造~営業まで全て。そう考えると、今の時代の人たちが会社からお給料を貰う事に慣れ過ぎていて、自分で稼ぐことの鍛練がされていないだけで、誰しもその能力は持ち得るのではないかなと思うんです。

一番初めは一円も儲からなくてもいいと思う。自分を鍛えるための練習台にしてもいいし、リサーチのような形でも得られるものは十分にあるはず。

僕自身、このナリワイ作りや、以前このブログでもご紹介した月3万円ビジネスの実践者になっていきたいし、この働き方がこれからも増えてくると確信しています。

ナリワイ作りについてご興味がある方は、是非伊藤さんの著書をご一読しておいて損はないと思いますよ!

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