ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

里山が教えてくれること~大切なのはお金を生み出すことよりも、消去すること~

2015/01/29

里山に住み始めて1年と2ヶ月。

四季をハッキリと感じられる環境を通じて、お金の在り方について学びました。

 

今の世の中、生きていく上でお金は絶対に必要。

 

当たり前ですよね。資本主義社会だもの。

そしてこの記事を見ている殆どの人が、心のどこかで今より収入を増やしたいと思っているはずです。

 

そんな方々に一つ問いたいのは、「なぜ、収入を増やしたいのですか?」ということ。

 

僕もブログを寄稿させて頂いているヤマガタ未来ラボさんのブロガーである松田さんの記事(O-Ka-Ne-Na-Shi)でも紹介されていましたが、データの信憑性はともかく、残念ながら山形県の平均年収は全国的に見ても下から数えたほうが圧倒的に早い。

そして『“I love マネー” の精神の人にとっては山形での暮らし、少なくとも川西町での暮らしは向いてないかもしれないです。』という言葉までありますね…笑

 

僕もこの言葉には同感です。

でも、収入が少ないからダメだ…という一辺倒な思考に陥る前に、絶対に知っておいて欲しいことがある…。

 

里山の循環から見えてくる、消去する能力の重要性

山々を見ていると、四季がはっきりと感じられます。

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春は木々が葉っぱを付け始め、夏には緑が爆発する。

秋は色を変えながら衰退し、冬は死んだように静か。

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このサイクルが遠い昔からず~っと、繰り返されていますよね。

 

農業・食についても同じことが言えます。

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このサイクルを見ていると畑や田んぼで作物を作り、食べているとあたかも生み出す力が大切なように思われてしまいますが、このサイクルを作っているのはむしろ消去する能力

 

つまり、食べる・土に帰るの部分。

 

人のお腹の中に入って、エネルギーに変わり、排泄をしてまたお腹がすくから食べたくなるわけで、消去されなければ作る必要なんかありません。

 

だから、極論を言えば、消去する能力=生み出す能力で良いのですが、それでは立ち行かなる日がきてしまいます。

 

仮に自給自足で暮らそうと決意し、米作りをしようと思ったら、人が年間で消費するお米の量は60~70kg。だからその分量だけ作ればいいのですが、二毛作ができる環境で無ければ米作りのチャンスは年一回で、不作や鳥獣被害もありえるので少し多めに作りますよね。100kg分とか。

 

つまり、実際に消去できる能力以上のモノを生み出そうとします。必ず。

 

なぜか。

生活が掛かっているからです。

 

そして、それが余剰となり保管したり配ったりする。

 

米や野菜を作っている人の家に行くと一瞬で気づくのですが、倉庫や玄関にお米や野菜が大量にあります。作った人は「作りすぎて余ってしまった」と言って分けてくれたりするのですが、これは無計画に作りすぎたのではなくて、無意識だとしても本能的にそうしている。

これが自分にとって都合が良い、合理だからです。

 

お金においても、消去する能力が大切

この農業のサイクルと同じようなことが、個人のお金の流れの中にも起きています。

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仕事をして⇒収入を得て⇒支出して⇒サービスやモノを受け取る⇒新たな欲求が生まれる

 

この中で、仕事・収入が生み出す能力だとすれば、支出・モノサービスが消去する能力です。

自分の生理的欲求や悩み、苦しみを、仕事をして稼ぎ、お金を支出してモノやサービスを受け取り消去します。

 

これもお米と同じで、不作ではないですが、怪我や病気をしたり、友達の結婚式などで予測できないお金が出て行く可能性がある。

だから、消去できる量よりも多めに収入を得て、貯蓄をしておく必要がありますよね。

 

ただし、お金が農作物と決定的に違うところは…

  • 永久にとは言えませんが、保管に期限が無いこと。そして利息で少しずつ増えていく。
  • 消去する能力は人によって全然違うこと。年間で1,000万ないと暮らせない人もいれば、100万あれば余裕で暮らせる人まで様々…

 

お米の場合、玄米のままでも、保管しておくのはせいぜい一年。

消去できる能力だって、年間60~70kg。

 

お金と米は全く性質が異なるので、そういう面では同じものとは言えませんが、2つの図を見比べたときに、消去する能力が循環を作っているという点では同じですよね。

 

ご飯を食べたいからスーパーでお金を払ってご飯を買って食べる。

次の週になって食料が無くなったから、またスーパーにご飯を買いに行く。

 

結局何かを得るためにお金を消去しているのであって、使い道のない(消去できない)お金を持つことに意味は無いかもしれません。

 

お金はあればあればあるほど良いのか?

「お金はいくらあっても邪魔にならない…。」とはよく言われます。

 

確かにそうですよね。

銀行に預けておけば通帳の数字だけが増えていくので、何の邪魔にもならないし、数字が大きければ大きいほど安心できます。

 

でもそうやって、何に使うかわからないお金を沢山貯めるために負のスパイラルに陥ってしまっては元も子も無いのかなと思います。

働けば働くほど、収入は増えるけどストレスも増え、支出は増えるし自由な時間は無くなっていく。

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果たしてそれで幸せなのだろうか…

 

今一度、自分が生きていく上で必要なお金はいくらなのか、見直してみることが必要なのかもしれません。

 

必要以上は稼がないという選択肢

以前、里山の家計簿~里山暮らしは支出の引き算~という記事の中で、ある月の一ヶ月の支出を出しました。

【以下、引用文章】

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【里山での一ヶ月の生活費】

生活条件:一軒家に2人暮らしで光熱費などは折半(もう一人の協力隊と共同生活)

車は市役所から借りている。

家賃は市役所が補助してくれている。

計算は大まかですが、リアルにこんなもんです。

食費(生活)

10,000

食費(外食)

5,000

タバコ代

6,600

ガソリン代

15,000

日用品費

3,000

通信費(ケータイ)

9,000

通信費(光ケーブル)

5,000

自治会費

3,200

電気代

2,000

ガス代

500

水道代

1,500

支出合計

60,800

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この家計簿的な感覚がかなり大切。

支出ベースで家計簿を考えていく必要があります。

 

一ヶ月でいくらの支出があるのか。

年間を通じていくら支出があるのか。

 

今ではスマホで家計簿アプリなんて死ぬほどある。

家計簿を毎日付けるのが面倒臭いなら、一年間ひたすら同じ口座を使って出入金を繰り返すということをすれば、年収から残額を差し引けば、年間の支出は大体わかります。

 

これがわかれば、利益(貯金)も含めていくら稼げばいいのかがわかるはずです。

 

将来が不安なら任意保険に入ればいい。日本の保険はアメリカに比べて全体的に安いし、手当もしっかりしています。

いざというときにすぐ使えるお金も必要でしょう。独り身であれば銀行の普通預金口座に常時100万もあれば十分じゃないのか。(この辺の感覚は個人差がありますが…)

 

また、収入が少し足りないのであれば頑張って働くのも良いですが、支出を楽しみながら減らすというのも一つの方法です。

その辺については、『月3万円ビジネス』の著者、藤村靖之さんが天才です。

参考:『月3万円ビジネス』が地方の働き方を変えるのか…

気になる方はゼヒ本を片手に通勤途中に眺めてみてください。

 

まとめ

支出を精査し、必要以上に溜め込むことを辞めて、その分は稼がず自分の時間を作る!というのも選択肢の一つなんじゃないでしょうか?

 

そういう意味で、平均年収が少ない山形でも、本気で住みたい!と思うのであれば住めると思います。

今スグにとはいかないかもしれませんが…

 

冒頭で取り上げた山形県は年収が少ないということを逆に考えれば、同じ日本国内でも山形県民は収入が少なくても暮らしていけることの証明なんじゃないでしょうか?(良い風に捉えすぎですかね?笑)

 

これからも人口が減り、GDPも減っていく中で、適正に経済が収縮していかなければいけないのかな~と最近考えます。

 

先進国の中で少子高齢化、人口減少、経済収縮がかなり進んでいる日本。

これら全てがこれからの未来に押し寄せてくる中で、生き抜く手段を模索する土地として平均年収の低い山形は、敢えてアリなんじゃないかなと思います。

山形県は海も山も平地もあるし、食料自給率は100%を余裕で超えている。

食の質も量も、ズバ抜けてレベルが高いと思います。

 

もしかしたら、山形県が経済を適正に収縮させていく先進の県になるかもしれません。笑

 

今現在では、収入が少ないと人生の選択肢が減りますが、アイデアとそこら中にある資源でカバーして楽しい生活が送れれば、それもまた幸せな人生かもしれませんよ…。

 

せば、またの。

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