ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

2017年の振り返り ~一人で歩むこと、チームで走ること~

今年も早いモノで節季が近付いてきました。

ども、田口(@tagu_h1114_18)です。

年末といえば大掃除。という人が多いかもしれませんが、僕はあまりやりません。大鳥に来た頃からそうなのですが、春に雪が溶けて家の周りが歩けるようになると、雪囲いを外すのと同時に家の倉庫を片づけたり、溜まったゴミを片づけたくなる。一年の大掃除は春にやるとして、年末は通常営業…という癖がついています。でもこれは僕だけに限ったことでもなさそうでした。少なくともちょっと昔の大鳥地域では…。

僕の暮らす大鳥地域には、以前は衛生検査と火焚き場検査というのがありました。衛生検査は春に大掃除して片づけてあるかを自治会長が見回りを行うもので、火焚き場検査は春と冬に薪ストーブの煙突の掃除がされているかどうかとか、火回りがちゃんと整頓されているかを消防団が見回るものでした。

なんだ、雪国では昔も同じじゃないか…と謎に自己肯定感を高めながら今年の冬も辺りを片づける程度にしようかと思っています。

 

それはそうと、年内に片づけておきたいこととして、自分自身の棚卸しをします。一年間、どんなことをやってきたのか、来年はどんなことをするのかをこの記事に纏めています。

かれこれ5年ほど続けていますが、一年の終わりと次の一年の始まりに自分のことを整理しておくのは有意義な時間。自分の棚卸しをやってない方がぜひやってみてください。

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この記事をみて、2年くらい前に仲間を誘ってやったことがあります。結構面白いですよー。

 

2017年にやったこと

・大鳥の輪郭 450部突破

2016年夏に刊行した大鳥民俗誌『大鳥の輪郭』がありがたいことに、450部を突破しました。マニアックな内容ではあるけれど、大鳥という地域が深く、知られていくのはとっても嬉しいこと。今後も大鳥に関する民俗誌を作りたいと思っていて、少しずつ準備してます。いつになるかまだわかりませんが、お楽しみに。

本の購入ページ : 大鳥民俗誌 『 大鳥の輪郭 』 

 

・民俗パネル展示

生まれて初めて、パネル展示をしました。テーマは大鳥地域で15年ほど前まで行われていた”ぜんまい小屋”について。ちなみにぜんまい小屋とは、”ぜんまい”という山菜を採る為に、奥山に建てた簡易的な小屋のことで、約一ヶ月その場で暮らしながらひたすらぜんまいを採って乾燥させ、時期が終われば乾燥ぜんまいを背負い降りて売る…。という一家総出の稼業でした。一ヶ月で100万円稼ぐのもザラな時代があったほどです。

パネル展示をすると決めてから、ぜんまい小屋があった場所を確認しに現場へいったり、地域の人に話を聞かせてもらったり。とても貴重な機会を頂きました。展示はB1版で6枚。大鳥音楽祭やタキタロウ館などで展示を行いました。パネルを一緒に制作してくれたのは芸工大卒の本間かりんちゃん。大鳥地域の民俗に興味を持っていて、イラストなども描ける頼もしい仲間。外の木枠は鶴岡の工房げるぐどさんに作って頂きました。

 

・大鳥音楽祭 vol.3

Photo by Jo Igarashi

大鳥音楽祭も今年で3回目。毎年演者を変えたりテーマを変えたりしながら実行委員のメンバーたちとお祭りを作ってきました。ステージに装飾が加わったり、地元のおかあさんたちが作った山菜のご馳走がならんだり、壁画美術展、パネル展示をやったりしました。実行委員の一人一人がその場で実現したいと思うことを大事にして、来年も新たな企画を加えて6月30日に行う予定です。

web site : 大鳥音楽祭

 

・大鳥てんごの運営スタート

一年以上前から準備していた民俗メディア×インターネット通販をようやく始めることが出来ました。サイトや包装紙、小冊子のデザインを担当して頂いたのは山形市内のアカオニデザインさん。

10月にスタートしたのですが、お陰様で少しずつ売れています。山菜やキノコといった山の幸をご自宅にお届けしながら背景にある大鳥地域がどんなところなのかを感じてもらえるよう同封する小冊子も年1回くらいの頻度で更新していきます。少しずつですがWeb上での大鳥に関わる情報も増やしていきますので今後ともお楽しみに。

web site : 大鳥てんご

 

・大鳥―山熊田の山道復旧調査

2年ほど前から調査を続けてきた大鳥―山熊田間の山道復元事業。

【幻の塩の道を訪ねて…調査編②】大鳥―山熊田をつなぐ山道、二ノ俣沢~ニノ俣峠(山形-新潟の県境)までの道を見つけてきたよ!|ひろろーぐ

村上市山熊田集落は、大鳥と山を2つ越えればいける地域で、戦後数十年までは山を越えた行き来がありました。血縁関係をもったり、山熊田にある浅間神社・お地蔵さんにお参りにいったり、田植えの手伝いに来てもらったり。800年以上前に大鳥が村として始まって以来、山熊田との交流・交易があったとされるその道を復旧したいと地元の人と盛り上がり、今年は営林署に話を通しつつ、調査を行いました。来年度は本格的に道をつけていく作業を行う予定です。

 

・ぜんまい小屋復旧の準備

ぜんまい小屋のパネル展示をみた友達が「小屋の調査するなら、小屋、作ってみればいいじゃん。」と言ったことで始まったスピンオフ企画。作り方のアーカイブを残しながらぜんまい小屋を実際に復元しようという取組で、材料となる茅を集めたり木の見立てを行いました。来年は木を伐ったり、マンチャクという縄の代わりとなる蔓を採集して、6月頃に復元作業を行います。

 

・民俗調査

大鳥地域で見聞きした情報を写真や文字として残したり、文献を調べてきました。

加えて秋田県阿仁、岩手県遠野、佐賀県唐津市地方に行って歴史博物館へいったり図書館へいったり、聞き取りやフィールドワークをしてきました。特別テーマがあるわけでもないのですが、行った先々で発見があるのはとても楽しい。来年度以降は北海道のアイヌ、福島県奥会津・昭和村あたりと、中国地方あたりに行きたいと思っています。

“唐津くんち”は今と昔の結び目。|ひろろーぐ

“舞うマタギ”、秋田県阿仁の根子番楽をみてきた。|ひろろーぐ

 

・手仕事(毛皮鞣し・加工品・腰皮・マムシの粉薬作り)

マムシの粉

ロードキルや頂いた獣の皮をなめして腰皮にしたり、スツールに張ってみたり。ツキノワグマの爪や牙をネックレスにしてみたり、マムシの粉薬の作り方を教わって作ったりしました。

 

2017年の振り返り

2017年は少しずつ外へと開いていった一年だった。パネル製作にしかり大鳥てんごのWeb制作にしかり、ぜんまい小屋復元の準備にしかり、自分がやってみたいことを誰かと一緒に作る、もしくはお願いすることで結果的に一人で作るより遥かに良いものが出来たという感覚があった。

今年一年、本当にお世話になった方々はたくさんいますが、一番はやっぱり大鳥の人たち。日頃から気にかけてくれて現金収入になる仕事を振ってくれたり、おすそ分けをくれたり。猟に誘ってくれたり。僕のスケジュールを大体把握しているおばあちゃんまでいます。大鳥の人たちは日々暮らしていくことの積み重ねが大事だということをいつも背中で教えてくれる。こんな地域に住めて、本当に良かったと思っています。

 

それにアカオニデザインの後藤ノブさん。本当に親身になって様々な提案をしてくれて助かりまくっています。今後も大鳥てんごの事業を中心に一緒にお仕事をお願いしたいです。

一緒にぜんまい小屋のパネル展示を作ってくれた本間かりんちゃんは、大鳥のことが好きで、イラストも上手。大鳥てんごから購入頂いた方はわかるかもしれませんが、付属でついてくる小冊子に載せた集落鳥瞰図は彼女のイラストです。大鳥のことが好き…というのが僕にとっては超重要で、そういう意味で今年、彼女とお仕事を一緒にできたのはとても良かった。

それに毎年のことになるが大鳥音楽祭実行委員のメンバーも。彫刻家/詩人、バイオ研究者、歌手/イラストレーター、木工屋/ギタリスト、絵描き、彫金作家という個性豊かな大人たちと作っていく音楽祭が楽しい。どこかでバッと変化が起きそうな気がしていて、ワクワクする。今年の秋には私情でメンバーが二人外れてしましたが、その時に「何かのキッカケで欠けたり、増えたりして動いていく生き物のような感じが大鳥音楽祭らしいよね」って言う話があって、なんか腑に落ちた。時間を置いてまた一緒に何かできたらいいなと思う。

 

僕の移動手段は相変わらずスーパーカブ90㏄で、節約生活は続いておりますが、2018年以降も時間の限り民俗調査や復元を続け、周りの人の協力を得ながら大鳥てんご、大鳥音楽祭などを手掛けていきたいと思う。

身近なことでもちょっとずつ積み重ねていけば、遠いところに行ける気がする。

チームを組めば、もっと遠くまでいける気がする。

 

みなさん、良いお年を。

 

せば、またの。

-セルフマネージメント

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