ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

2020年の振り返り

コロナの渦に巻き込まれながらあれよあれよと時間は過ぎていき、感染者数の上下に変な感情揺さぶられながら過ぎていった一年。コロナジョークを幾つかかました記憶があるほ程度で、集落の行事やら対外的なイベントはほぼ自粛。まぁとにかく衣食住はせなあかんのだけど普通じゃなくなった感はどうしてもありますね。この記事を読むみなさんも、個々の行動を相当制限されたのではないかなと。

テレビニュースとTwitterとを行ったり来たりしながらコロナ情報に触れていますが、コロナ死者数・感染者数は増えているわけですが、マスク着用や消毒意識の向上もあってか前年度の死者数と比較すると少なくなっている。一方で感染予防のお達しは経済循環へのダメージを大きくし、失業者増⇒自殺者増に繋がっている。全体最適を取ることが非常に困難であり、「経済よりも命が大事だ!」と簡単には言えないのが、今の状況の難しさ。かといって動いたら動いたで政治批判も個人攻撃も…。とはいえ代案もなかなか出てこないよね。SNSで個人の世界が広がったけれども、無尽蔵に発言できるツールというのも一長一短で…。つい20年前までは便箋という限られた枠の中に手紙をしたためていた。場合によってはそのくらいの感覚の方が人に伝えるツールとして最適なのかもしれないなぁ…と思ったり。今こそ大局観を…と思いながらも何も浮かばない、僕です。

枕はこの辺にしておいて、今年も一年間の振り返りを。

2020年にやったこと

中・西日本フィールドワーク

ここ最近、大鳥てんごの方で記事に上げていたけど、7月~9月まで、旅に出ていました。関東の一部・信州・北陸・関西・中国地方を回った。各地の歴史を学びながら地理的な状況、民俗的な生活に触れ、毎日が充実していました。詳しくは1月にでも幾つか記事にしたいので、ここでは触れずに。旅が終わった時に書いた記事のリンクを貼っておきます。

フィールドノート2020 関東・中部・北陸・関西・中国編総括|大鳥てんご

九州・北海道もいずれ行きたい。

 

日本史の勉強

今年は林業史、狩猟史、農業史、宗教史など、山村に関連する通史を勉強してきました。大鳥のような山村においても、例えば第二次世界大戦や戦後の食糧難、農地解放といった日本全体に影響を与えた物事は大鳥のような山村へも影響が及んでいるものの、離島振興法とか沖縄返還は直接的な影響は見られない。一方で、カテゴリ別の通史をみていくと林業分野では戦後の拡大造林や、パルプ材のためのブナ林大量伐採、農業分野では減反政策、自主流通米の始まりなどの政策が大鳥の生活に直結してくる。宗教分野では曹洞宗が信仰されている。歴史は現在を形成してきた流れであって、それぞれに理解が進むと、地域の人々が持つ政治・行政に対する感情や思惑が少しみえてくるような気がします。とある人から「ムラの人たちは、こっちが知っていれば知っているほどどんどん話してくれる」と教えてくれたが、その通りだなと思う。まぁ、なににでも通じる話ではありますが。

初心者本のような気もしますが、参考になった文献を以下に幾つか紹介しておきますね。

山林史

狩猟史

農耕史

宗教史

中間支援団体、スケダチの活動

今年で3年目になったスケダチの活動。今年は会議やら研修やら、ほとんどオンラインで行った。メディアが”リモートワーク元年”と言い始める日もそろそろかと思いますが、いや、既に言っていたか…。こまごまとした打合せはリモートで全然間に合うなぁーという感想。研修会もリモートで出来てしまった。体が動かなくて良い分、負担は軽減されているような気もするけれど、メンバーに直接会えていないのが残念というか。リモートだと仕事の話が多くなってしまいがちで、たまには割り込んで冗談言ったりしたいなぁーなんて思っていたり。来年こそは、みんなで呑みたいぞー!

 

大鳥池~以東岳動画撮影

大鳥に移住してくるご夫婦が動画撮影&編集が出来るということで、かねてからやりたかった大鳥池~以東岳の動画を撮影してもらいました。大鳥池や以東岳という山は、大鳥に住んでから幾度と登っていて、タイムアタックをしたこともありましたが今はめっぽう、観察しながら超ゆっくり登るのが好き。小さい虫とか、茸とか石とか、草木、大木の形。いちいち立ち止まっては「ほぉー。」と思ってまた歩く。動画もそんな形で撮り進めてもらいました。

それと、「なんかわからないけど何か居そうな気がする…」みたいなことを”妖艶”という言葉で表現してみましたが、そんなシーンも撮れたらなぁ…なんて無茶なオーダーをしてみた。

明治期に出雲で生きた小泉八雲(ラフカディオハーン)は、妻から聞きとりしたろくろ首などの怪談話をまとめた著作『怪談』で有名ですが、八雲は出雲を訪ねた際、宍道湖に船を浮かべてたたずみ、太陽に向かって手を合わせる人々の姿に感動を覚えたそう。一方で物質文明の発展と科学万能時代の到来でゴーストと出会う旅が難しくなった。妖怪たちは昔も今も子供の想像力を羽ばたかせ、自然や闇への畏敬の念を教え、共生や環境について考える機会を与えてくれる、と考えていた。

以前、大鳥でキツネに化かされた話やキツネ火を見たという話を聞かせてもらったが、昔はもっと色んな怪談があったのではないかと思う。毎日ひたすら山に入り、闇夜を過ごし、山の中でなんか気持ち悪い…、嫌な予感がする…、という経験を繰り返す中で出会えたキツネたち。

現代人に全く見えないのは、見えるような経験をしなくなったから、知識が現実を追い抜いてしまったから、という言い方もできるような気がしつつ、どこかでその”妖艶”な雰囲気を動画に入れられたらなぁ…なんて。仕上がりはどうなるだろうか。年が明けてからになるが、楽しみである。

 

2021年にやりたいこと

大鳥てんごのテコ入れ

大鳥てんごも開設して3年ほどが経ちましたが、来年はリニューアルを予定。大鳥の民俗・歴史の発信をベースにしながら、通販のほうをもう少し力を入れていきたい。

 

山形・庄内のフィールドワークと歴史を調べる

いよいよ、、、である。ようやく、、、というべきか。日本史⇒地方史と来て、ようやく住んでいる地域を少しずつ掘り下げようかなぁと思えてきた。というのも、今年の旅でザックリとでも地域の歴史・地理を押さえておくことで、中の細々としたことの理解が進むなぁーという実感があったから。そして、現地で自分の感じたことを言葉にすることに少しずつ抵抗がなくなってきた。神奈川県小田原市の集落でお世話になった人に、「自分の言葉で書いたら良いよ。」って背中を押されたことが大きかったのだと思う。コロナ下なのであまり人との接点を持たずに旅をしようと思っていただけに、気持ちよく受け入れてくれたことはとても嬉しかった。

 

聞き書き

大鳥の聞き書きも再開したい。5年前、民俗学に興味を持った頃にいろんなことを教えてくれた地元の方々の多くはご健在ですが、別れもあった。やっぱり、寂しい。わかっていたことだけど、それはこれからも続いていく。地域の人たちの言葉を今拾っておかなければ二度と聞けなくなってしまう。今の70代以上の方々はその地で生まれ育ち、地域資源を最大限利用してきた最後の世代。そのことを胸に刻みながら、ここに住んでいるからこそできることをやっていきたい。失われいくものを追いかけることも悪くないと、自分に言い聞かせながら。

 

最後に、Youtubeを見るのが好きなのですが、一つ、これは面白いなぁーと思った動画をご紹介。ちょうど今、梅棹忠雄の「文明の生態史観」という名著を呼んでいるのですが、世界史で横文字を拾うのが苦手な人も、これを見ると、「あぁーそういうことね。」と理解が進む。興味ある方はぜひ見てみて欲しい。


せば、良いお年を。

-セルフマネージメント

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