ハンター志願者にオススメ!狩猟漫画『山賊ダイアリー』が有益かつ面白い!
2015/02/02
ハンター、狩猟と聞くと、引く方もいるかもしれません。
ワナとか銃で獣や鳥を駆除する、あれです。
「生き物・動物を殺すなんてマジでありえない!」という声が聞こえてきそうですが…
でも、狩猟をしなければ農作物被害は広がるばかり。
2011年の農林水産省のデータでは、金額にすれば年間226億円もの農作物がイノシシやシカ、カラスなどの鳥獣によって被害を受けています。
特にイノシシやシカは本州で増えまくっていて、僕の住んでいる近所で目撃情報があるくらい食料を求めて東北まで北上してきているそうです。
5年以内に山形県内にもイノシシや鹿が大量に出ると、山形大学の教授も言っていました…
豊かな農作物を守ると言う意味でも、社会的責任を負っている狩猟。
そして今、若い人の中で猟師が増えつつあるそうです。
そのキッカケとして一役買っているのが、今回ご紹介する山賊ダイアリーという漫画。
イブニングという隔週刊誌で連載していて、コミックは現在4巻まで出ています。
岡本健太郎さんという漫画家が、地元の岡山県でリアルに狩猟をしている情景を淡々と描かれているだけのマンガです。
とは言っても、画が特別うまい訳ではありません。
ストーリー性も特にありません。
でも、面白いです。
狩猟の役割や考え方みたいなのを押し付けることなく、只々狩猟した動物の命をしっかり調理して美味しく頂く…
そんな楽しい狩猟ライフを描いているような感じです。
ではでは、僕が山賊ダイアリーのことを面白いと思ったポイントの3つをご紹介していきます。
狩猟免許の取得、銃所持許可などに必要な知識が学べる
狩猟をやる為にはワナや銃が必要になるのですが、殺傷性のあるモノを扱うにはそれ相応の資格が必要です。
僕も現在資格を取りに様々な試験を受けている最中なのですが、警察の身辺調査のやり方が凄い…
近所の住民、親などに、銃を所持しようとする人が危険人物じゃないかを調べるみたいです。
その他、提出書類が山ほどあったり、医者の診断を受けたりと、勉強しなきゃいけないわお金は掛かるわで、実際に狩猟出来るようになるまでは結構大変…
狩猟の教科書ではないので全て学べるわけではありませんが、狩猟免許の仕組み、銃のこと、覚えなければいけない狩猟鳥獣や、銃を撃っていい場所などが所々で説明されています。
「狩猟にこれからチャレンジしてみよっかな~」と考えている人にとっては、狩猟のイメージを膨らませながら勉強も出来る、一石二鳥なマンガだと思います。
狩猟や動物における知識が細かく描かれている
くくりワナの作り方、ワナを仕掛ける場所のポイントや空気銃・散弾銃の特徴などの猟具に関わるモノの解説から、山で遭難した時の対処法まで…
狩猟をしている人なら常識かもしれませんが、これからハンターになる僕にとっては新鮮な情報です。
しかし、「牛舎の周りにいるカラスは、牛の餌を食べているのではなく、牛を食べている」というマユツバものの知識にはかなり驚きましたが…
ゲテモノ・ジビエの調理方法や食べている様子が描かれている
普通、肉で食べると言えば豚・牛・鳥のどれかだと思います。
少し貴重な体験をして、イノシシやシカ、カモ、クマなんかを食べたことがある人はいるかもしれません。
でもこの漫画の凄いところは、カラスとかキジなどの鳥獣を調理して食べる様子までも描かれていることです。
そんなのは普通のハンターでは食べません。
カラスの胸肉を串焼きにして食べているシーンがあるのですが、「少しパサついた脂の無い牛肉のような味で、歯ごたえはしっかりしているので、イケルといって差支えが無い」と描いています。
そんな風に書かれると、一度は食べてみてもいいかも?!と思う人が出てくるかもしれません…笑
総評
全体としては、狩猟のhow toと、狩猟した鳥獣の食べ方と食べた感想を描いた漫画です。
『わざわざ漫画にする必要無いんじゃないか?』って思ってしまうような内容ですが、読んでみると意外に面白かったりします。
僕自身、現在ハンターになろうと、銃の所持許可の申請をしたりしているから余計に面白いな~って思えるのかもしれませんが、この漫画を見た都市部の人が狩猟を目指す人が出てきているなんてことを東京農工大の教授が言っていたものだから凄いですよね…
確かに、僕が狩猟免許を取りに初心者講習会に行った時は、罠猟も含めて50人中半数くらいが20代~40代でしたもんね。
狩猟者がドンドン減っている中で、若い人が徐々にでも増えているのは僕にとっても嬉しいことです。
あと、狩猟に関して全国各地で面白い取組みをしている団体やウェブサイトがいくつかあったのでご紹介しておきますね。
猪鹿庁
里山保全組織として構成される猪鹿庁。ウェブサイトを見ているだけでワクワクしてしまいます…笑
捜査一課、山育課、衛生管理課、研究課、ジビエ課、広報課の6つの組織から構成されていてまるで警察みたい。
平均年齢30歳くらいで、ジビエの6次産業化、猟師ツアー、講演などを行いながら、里山を守っていく活動をしています。
東京農工大 狩り部
http://huntingsniper.blogspot.jp/
東京農工大で発足された、狩り部です。新聞などに取り上げられてて何かと話題になっていますが、"部活"として狩りをしている学生たちです。
目指せ!狩りガール
狩猟することを目指している都内在住の女性が運営しているブログ。
狩猟免許や銃所持許可を含め、猟師になるまでの経緯を細かく、ポップで会話調に書かれています。
サイトを開設したのは大日本猟友会なので、狩猟に対するイメージ戦略かもしれませんが、いち視聴者として見る分には女性ならではの感性で可愛く描かれているので読みやすいと思います。
The Woman In Nature
http://thewomeninnature.wordpress.com/
北海道で活動している女性ハンター、若しくは野生動物に関わる学業及び仕事についている女性たちで構成された組織です。
北海道ならではのヒグマなどの狩猟や、ハンターにまつわるイベントを主催している団体です。
上記の活動に対する批判もあります。
それぞれの批判に対して何か言うつもりはありませんが…
確かに、生き物を殺すっていうのは確かに残酷かもしれません。
でも、それを誰かがしなければスーパーにお肉が並ぶわけがないわけで…
ましてや、家畜として生まれてきた牛や豚、鳥なんて、初めから殺されることが決まっている生き方しかできないわけで…
そういう命を頂くことでしかヒトは生きていけないので、狩猟も命の尊さを知ると同時に、ヒトとして生きるために大事なナリワイなんじゃないかと思います。
と、能書きを色々垂れる前に、実際に狩猟に行かなければ話にならないと思いますが…
今年度の狩猟期間には狩猟の申請に間に合わなかったので銃を撃つことは出来ませんが、狩猟についていきながら色々学びたいと思います。