ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

『真冬の大鳥 山里暮らし体験 大鳥でウサギの巻狩りを体験しよう!』イベント開催レポート

ども、田口(@tagu_h1114_18です。

先日告知をさせて頂いた、『真冬の大鳥 山里暮らし体験 大鳥でウサギの巻狩りを体験しよう!』というイベントが無事終了したので、今回はそのイベントレポート。

 

イベント自体は1月15日でしたが、天候に恵まれず、開催5日前から雪が降り続いた。

休むことなく、ふわふわの新雪の上にまた新雪が…。降り積もった雪は固まることなく、イベント当日には積雪1.5mを越えていました。

雪の壁。

とある大鳥の人曰く、「これだけ降り続いたのは経験したことがない…」と。

かんじきを履いて歩くと、足元がズブズブっと、太ももあたりまでぬかってしまう。

経験のない人には伝わりにくいかもしれませんが、雪で足をとられると、とられた分だけ足を上げなければいけないし、足を上げる時に雪の重みが足にかかって重たくなる。

フワフワで、深い雪の上を歩き続けるのはとてもとても大変なのです。

少し大げさですが、イメージ的には沼に足をとられ続ける感覚。

 

事前に、参加者が歩く道を作るため、スタッフで雪を踏み固めていて、このおじいちゃんは冬山歩きも慣れた方ですが、それでも苦労して道つけをしてくれていました。

雪を踏みに行くおじいちゃん。二重かんじきを装備。

先に誰かが雪を踏み固めておくと、次に歩く人が歩きやすくなるんですよね。

 

イベントスタート。大鳥自然の家で巻狩りの説明など、オリエンテーリング

10時からは参加者と地元スタッフの人たちも含め、オリエンテーリングが始まりました。

本日の行程。

大鳥の最年長マタギ、工藤朝男さんからウサギの習性や巻狩りの手法についてレクチャー。

フワフワな雪が降り続いた今回のような雪だと、ウサギは雪の中をもぐって移動するらしく、30-40mくらい雪の中をモコモコと歩いたら、雪の上に顔を出す。その時をねらってウサギを鉄砲で仕留めるんだとか。

ウサギの足。茶色い毛の部分が人間でいうかんじきの役割を果たす。この茶色の毛は冬毛の時にはあるけど、夏毛の時期(春~秋)はないんだって。ウサギも生き抜くために自然と進化してきたんだろうな…。

 

また、昔は鉄砲だけじゃなく、手づかみでもウサギを獲っていたそうです。ワラダという藁の鍋式みたいな形をした円状の藁に、投げ手となる木の棒を中心に刺したもの。

これを幾つか山に持って行って、ウサギがいる場所の数メートル上空目がけて投げる。

投げた時のワラダ音が、鷹などの天敵の羽音に似ていて、ウサギは鷹に襲われると思って穴に潜るらしく、潜ったところを手づかみでつかまえるらしい。

手づかみとは…。昔の人はスゴイね。獲物の習性を良く知って、お金や道具がなくても獲物が獲れるように研究に研究を重ねてきたんですね。ちなみに、ワラダ猟で検索すると、色々情報でてきます。

40年前はウサギの毛皮は200円ほどで売れていたそうです。

そして今回のメイン、巻狩りについても説明してもらいました。

まず、撃ち手がウサギがいるであろう山の斜面の上のほうに、ウサギに気付かれないように先回りをする。その間に勢子(せこ)と言われる、うさぎを追い出す人たちが山の斜面に対して一列にならんで、撃ち手の準備ができるのを待つ。準備ができたら勢子が「ホーイホーイ!」と声を出しながら山の斜面を登っていく。すると、山の下から聞こえてくる声に驚いたウサギが山の斜面を登っていくので、出てきたウサギを撃ち手が”バーン!”っと鉄砲で仕留める。

巻狩りはその日集まれる人数によって、5人程度でやることもあれば、十数人という大規模でやることも。ウサギがいっぱいいた頃は、十数人で巻狩りをやって、ウサギを20羽も30羽も獲ったらしい。

 

オリエンテーリングが一通り終わるとみんなでフィールドへ。

ウサギの巻狩り体験開始!

本来であれば広いフィールドである程度の距離をみんなで歩く予定だったですが、あまりにも雪が深いために、大鳥自然の家から歩いてほどない場所の山の斜面で、小さく、擬似的に行うことに。

地元の人がかんじきの履き方をレクチャー。

町中では履くことがはまずないですもんね…。といいながら大鳥でも、屋根の雪下ろしや狩猟をしない人は、かんじきを履くことも殆どないと思います。

巻狩りのフィールドへ、いざ!

 

巻狩りのレクチャーどおり、先に撃ち手が山の斜面の上に登り、少ししてから勢子(参加者・スタッフ)が斜面の下に待機。

撃ち手の準備ができ、勢子が横一列に並んだら、みんな一斉に山を駆けあがりながら、声を出してウサギを山の上の方へ追い出します。

モコモコしてますね。

かんじきを履いていても柔らかい深雪に足をとられ、ふくらはぎまで雪。

全然前に進めませんでした。笑

ちょっと歩くと杉林になって、幾分か歩きやすくなりました。

(杉は冬でも葉っぱがついてて、葉に大量に雪が付いたり、葉っぱについた雪が風に飛ばされたりして、木の根元に雪が積もりにくい。)

 

日頃のうっぷんを晴らすがごとく大声を出しながら杉林を歩いていると、山の上から猟師さんが降りてきて

 

「ウサギ獲れたよ。3羽。」

 

と。(事前に取っておいたウサギ3羽のことですが…。)

大鳥自然の家での昼食にウサギ汁が…

大鳥自然の家に帰ってくると、囲炉裏で弁慶飯が焼かれていました。

弁慶飯とは、平たく言えば味噌おにぎりを青菜漬でくるんで焼いたものです。山形の郷土料理。

 

そして

どーん。これがウサギ汁。

ウサギの肉、骨、油揚げ、ネギ、大根がふんだんに入って、醤油で味付けされています。

お昼ごはん。ウサギ汁と弁慶飯、ゆかりおにぎりに漬物、ゼンマイの煮物に、冬らしくみかん。

相変わらず自然の家、料理長の勝子ちゃんのお料理はおいしかったです。

参加者の方々も、ウサギ汁は何杯もおかわりする人もいました。

ウサギのお肉はクセ・臭みが無く、たん白なお味がして、おいしかったです。

 

僕個人的には、焼き肉みたいにして食べるのが好き。手を、手羽先みたく塩コショウで味付けして焼いて食べたのですが、超高級な鶏肉のような味だったのを覚えています。”美味”って言葉が合うかなぁ。

 

午後からはケーブルテレビさんが作ってくれた『大鳥のマタギ・熊狩り』についてのDVDを30分ほど見てから、参加者・スタッフ一緒になってイベントの振り返りと感想の共有をして、イベントは終わりました。

 

終わりに…

元々ウサギ狩り体験を予定していた場所であれば一時間は余裕で体験できただろうに、雪の按配と天気に恵まれなかったのが残念でしたが、吹雪の中でも参加者の表情は明るく、楽しんでもらえたみたいで良かったです。

感想を共有する場では、「大鳥ではこんなこともやっているんだよー!」とか、「こんな素晴らしい自然があるんだよー!」って地元の人が話をしていたのを聞いて、ほくそえんでしましました。

地元の人たちが企画の段階から会議に参加し、自分事として捉えてイベントに参加したこともあったし、参加者の方々が楽しんでくれていたので地域の人も元気になるし、新しいことをやる活力になるんだなって、改めて思いました。

予想以上に参加申し込みを頂いて、何名かお断りさせて頂いたし、当日は猛吹雪で、安全を考慮し当日キャンセルの方も何名かいたので、来年も必ずやりたいというのと、雪と天候に恵まれた状況の中でやれたら最高だなって思います。

 

せば、またの。

-イベント

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