2024年の振り返り
ども、田口(@tagu_h1114_18)です。
今年は大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。
2024年の狩猟シーズンが始まって早一ヵ月半。折り返しにきつつもまだそんなに出猟できていない。
大鳥は雪が本格的に降り始める12月半ば頃まで、特に11月後半は雨ばかり。雪が降り始めれば除雪も始まり、1日かけてゆっくり出猟できるような日はあまり多くない中で、ウサギやヤマドリの痕跡を探しては追いかけています。「出会ったら半分くらいは獲れたようなもんだ」と思うのだが、いざという時に鉄砲の引き金が引けなかったりして獲れたはずのヤマドリを既に3羽も逃がしている。とっても悔しい…。罠免許は今年に取得したもののまだ仕掛けられておらず、来年には小さな箱罠を買って仕掛けてみたい。
今年に入ってから、ケェシキを出猟した際によく使うのですが、これがとても便利。ケェシキとは木で作られた雪ベラのことで、大鳥ではブナの木で作られてきました。他地域によってはイタヤなどで作ってきたそうです。雪上の杖代わりになり、トラバース、グリセード、更にはラッセルにも使える。穴に潜った獣を掻き出すスコップにもなる。リュックに収まる程の折りたたみスコップも売られているけれど、ケェシキのほうが軽いしリュックや腰に固定しておけば猟の邪魔にもならない。
昔からの民具というのはよくできていて、カンジキもその一つ。クロモジの幹を使って作られたカンジキはよくしなるので、足への負担が小さい。紐の結び方も色々あって、足首とカンジキをガッチリと固定できる結び方もあれば、いざという時に脱げるようにする結び方もある。木の根元の空洞なんかに足がすっぽりハマり、中の柴に絡んでしまうと脱出に苦労するが、そういう時はカンジキは脱げた方が便利。ガッチリ固定されているとケェシキなどのスコップがないと脱出に苦労する。スノーシューは平らな場所を歩くのに浮力があって楽だが、急斜面には不向きだし、小回りが利かない。そしてカンジキより重いので、浮力と重さを天秤にかけながら雪質をみて使う。カンジキはその点、場所や雪質を選ばずに使用ができる。あまりにもドカ雪が降ると沈みすぎて難しいが、そういう時は音も立ちにくいスキーのほうが良いのかもしれない。
それと、今年の春には聞き書きを沢山しました。
15名の大鳥の方々に、山の人生をうかがった。狩猟・採集や農耕、鉱山といった大鳥を象徴する生業・文化の背景にある、戦後を生きてきた人たちの生活はどんな風だったのか。出稼ぎを辞めたのは、大鳥にいると気が安らぐという観点。出稼ぎしている夫の留守を預かり、子供も家も守る嫁さんがやってきたこと。苦労したことが度々思い出されるのは、それが自分への自信へと繋がっていたからではないだろうか。
今年は友人に手伝ってもらって川の魚類調査もしておりました。大鳥にはイワナを代表する渓流魚の他に、アブラハヤ、ウグイ、オイカワ、一部ヤマメ、大鳥池のヒメマス、ナマズ、カジカ、ヨシノボリといった魚たちがいます。それら魚たちがどこからやってきて、どんな風に生活に利用され、今はどんなところにいるのか調べていました。まだまだ調査し足りないところですが、一旦は来春にまとめたいと思っています。
そういえば、2年越しに上映になったプロミスト・ランドがついに公開され、今はBlu-rayディスクになりました。大鳥の猟師たちを撮影したドキュメンタリー映画 『MATAGI-マタギ-』の映像も付いています。アマゾンでも売っているみたい。みなさん、買ってください!
これから頑張って年越しそばを打ちたいと思います。
ではでは、来年もみなさまにとって良い年でありますように。
せばまたの。