伝説の巨大魚タキタロウを、大鳥人と全国から集まった仲間たちと調査してきたよ。
2015/01/29
こんなにも胸が高まったのは何年振りだろう…。
2014年9月6日~8日まで行ってきたタキタロウ調査が終えてはや3週間が経過しました。
ども、田口(@tagu_h1114_18)です。
今回のタキタロウ調査の感想を一言で言えば、「本当に楽しかった!」です。
文章を書く身として、「楽しかった!」とか、「嬉しかった!」というのは表現方法として非常に安易なことはわかっているのですが、それでも今回は敢えてそう言いたい。
現在、報告書をまとめている最中なので、今回の記事では具体的な調査結果は書けませんが、タキタロウ調査をやるに至った経緯や段取り、タキタロウ調査の様子、調査後の僕の感想・想いをここに残しておきます…。
そもそもなんで、30年ぶりにタキタロウ調査をやることになったのか。
遡ること約10年前。当時の朝日村村長の佐藤征勝さんが、平成の大合併で鶴岡市と朝日村とが合併の立役者でもあった。
合併後に、「タキタロウ調査をやろう!」と鶴岡市に提案した張本人でもある。
朝日村にはタキタロウがいる。大鳥池には夢とロマンが詰まっている。調査を行うことで、タキタロウにまた一歩近づくことも、赤川の源流でもある大鳥池周辺の自然環境の変化を調べることもできる…。
けれど、その提案は不採択になってしまった。
その理由までは知らないので、今更攻める余地は微塵もないが、当時の佐藤征勝さんは「鶴岡市には夢がないなぁ…」と言葉を漏らしたそう…。
現在では佐藤征勝さんも、高齢者といわれる年齢になり、鶴岡市議会議員も退職。
大鳥での山の生活を満喫するよう2014年6月から大鳥小屋(タキタロウ山荘)の管理人として本格的に活動を始めていた。
時を同じくして、大鳥地域づくり協議会で作った平成26年度の大まかな事業計画(タキタロウ調査も既に事業計画に組み込まれていた)に沿って、実際に行動するための会議が開かれていた。
「大鳥地域づくり協議会」というのは一言で言えば、地元民による攻めの自治組織。これまでに地域内でのお茶のみサロンや鉱山跡地整備、U・Iターン促進のための空き家・空き地調査などを行ってきた。
佐藤征勝さんや、今回のタキタロウ調査の隊長である工藤悦夫さん、僕たち鶴岡市地域おこし協力隊もこの組織に入っている。
この場で、タキタロウ調査を事業計画に組み込む際に提案した佐藤征勝さんが「夢とロマンを追いかけるタキタロウ調査をやりてぇんだやの。けど、大変だし、歳も歳だしなぁ~…。」と少し弱気な言葉を漏らした。
70歳を過ぎた人が山を登り、山に籠って調査をするのにはやっぱり体力と覚悟がいる。
でも僕は「やりたい!」「やりましょう!」と言った。
その時はただの直観と条件反射的な発言で、もっともらしい理由や構想なんて何もなかった。まともな調査なんてやったことがないし、タキタロウは模型や写真でしか見たことが無い。魚のことなんか詳しくない…。けれど胸を躍らせるモノ、そういう企画に前のめりになりたかったんだと思う。
どうして、インターネットで調査隊を募集をしたのか…。
調査をやると決まってからやらなければいけなかったのが、調査機材集めと人集め。
調査にはエコーサンダー(魚群探知機)や水温を図る装置が必要だし、調査がちゃんとできる人が必要。
僕たち地元の調査隊はそのどちらも持っていなかった。
人に関して言えば、地元の調査隊はマタギでもあり、山のことは本当に詳しいし大鳥池には数え切れないくらい行っている山のプロ。語り継がれているタキタロウ伝説の話もよく知っている。けれど、調査に関してはてんで素人。僕は山の知識すら殆どない。
それに、30年前に調査に携わった人たちは、かなりのご高齢になってしまっていて声をかけることもできなかった。
「こんな状況で、地元ではあるけど素人集団でまともな調査ができないだろう。」そう考えた佐藤征勝さんから「専門性を持った人を中心にインターネットで募集してみっちゃ」と僕に声がかかった。
そんなこんなで7月下旬に、このブログと大鳥daysという大鳥のWebサイトで公開しました。
30年ぶりに伝説の巨大魚、タキタロウを追う!大鳥池・タキタロウ調査のメンバーを大募集!|ひろろーぐ
僕個人としては、かなり面白い企画だとは思っていたけれど、5人募集し2人募集があればかなりいいほうだな~…なんて思いながら記事をアップしたら、熱意に共鳴したのか、企画が面白かったのか、沢山の人にFacebook ・Twitterでシェアをしてもらった。自己最多いいね!ツイート記録を樹立。笑
ここで改めてお礼を言わせてください!
あの節はみなさん、本当にありがとう!
なんと全国から8人もの人から応募がありました!
地元鶴岡、おとなりの酒田、県内の中山町、遠くは埼玉・群馬・宮城・長野まで…。
応募の際に、応募動機もお願いしたのですが、応募者から熱意あるメッセージを受け取り、
本当に感激…。
想いを込めれば届くんですね。
インターネットという技術の中で、いかに拡散させるか、いかに多くの人に見てもらうか…という方法論はたくさんあるけれど、やっぱり「伝えたい!」という熱意・想いが一番大切なんだなとしみじみ思います。
いざ、タキタロウ調査へ!
ワクワクが止まらない一方で、不安もありました。
「地元の人と全国から集まってくれる人たちが一緒になって取り組んでくれるかな…。」
「実りある調査ができるのかな…」
そんな思いを心の奥底にしまいながら当日を迎えた。
朝8時、タキタロウ館に集合した一同は、ちゃんとした自己紹介も無く、真っ先に大鳥池へ…。
テレビ取材の方々も同行してました♪
ゴムボート、調査機器、バッテリー、食料など、総勢15人で背負っていっても精一杯になってしまうくらいの物量。
登山道は神秘に満ちた道。何度見ても癒される…。
こんな道もありながらエッサホイサと3時間かけて大鳥池へ。
着いたよ!大鳥池!
湖面に反射される山々が綺麗。山奥にこんな大きな池があるだけでも伝説の匂いがプンプンしますね♪
3日間お世話になるタキタロウ山荘。
小屋で食事を済ませたら、さっそく調査の準備…。
荷揚げしたゴムボートに空気を入れます。
ヌン。ちゃんと池に浮かんでくれました。
こちらは水質調査隊のためのボート。
そういえば、ボートに名前を付けるの忘れてたな…笑
何やら専門的な調査の匂いが…。
そしていざ調査へ…。
僕は魚群探知機を確認しながらタキタロウを追いかけました。
見えますか?
水深40mのあたりに魚影が二つ写っているのが…。
こんなことが何回もあったもんだから、もうタキタロウがいると思わずにはいられない。
水中カメラも落としてみた。
初日の魚群探知機の調査記録はこんな感じ。
こちらは水温・水質調査チーム。
着々とデータを集めてくれていました。
岸壁で調査の様子を見守る調査隊。
マムシを素手で掴む山男…。笑
調査から返ってきたらさっそく情報共有。
水中カメラにタキタロウは写っているのか?!
調査が終わったらすぐにミーティング。
魚影の発見位置・水深、水温などを報告し、意見交換。
タキタロウはいると信じてやまない参加者から、面白い仮説も飛び出したりして凄く有意義な時間だった。
真剣にこんなことを語り合えるなんて、ロマン以外の何でもない…。
調査後の夕飯。配膳はセルフサービスです♪
芋煮、ごはん、缶詰、そしてお酒…。
山小屋で食べるには贅沢すぎるくらいのご馳走。
乾杯もぬかりありません。
タキタロウに対する思いや、今回参加した理由をみんな語らった。
緊張する面持ちも無くなって、胸から湧き出る想いを素直に言葉にしているよう。
そしてマムシさんも…
3人で仲良く精力増強しました。
真剣に、楽しく調査ができたのは、地元の人、集まってきてくれた調査隊メンバーのお陰だったと思う。
それに、30年前ではわからなかったことが分かったりと、新たな可能性に胸を膨らませる結果にもなった。
何よりタキタロウが、僕たちを引き寄せてくれた。
前回の調査から30年経った今でも、世代を超えてこれが実証できたことは何よりの成果だったんじゃないかと思う。
タキタロウ調査を振り返って…。
いつもは静かな大鳥に少しだけ賑わいが起きた。
タキタロウ調査を終え、家路についてみるとヤフーニュースのトップになっていたし、東京キー局からいくつか企画番組を持ち込まれるは、新聞社・雑誌・ニュース番組とかからバンバンと取材の申し込みがくるわ…。
超偶然にも金塊を掘り当ててしまった的な感じです。笑
けど、大切なことはいつも目には見えない。
地元の人が主体となって取り組んだこと。
写真で伝わったかどうかはわからないけれど、間違いなく調査隊全員が楽しんでいたこと。
内と内、内と外が繋がったこと。
俯瞰してみればただの3日間のイベントに過ぎないけれど、きっと、この場だけでは終わらない繋がりと記憶になったと思う。
そういう意味で、今回調査に関わらせてもらって本当に良かったなぁ~と思う。
最後に、タキタロウ調査が終わった後に書いた僕の感想文を紹介して終わりたいと思う。
3日間、本当に楽しかった。ひとえに地元の人、全国から集まってくれた仲間にただただ感謝です。
同じ目的を持ち、ロマンを追い求め、大変な山道を登りタキタロウを目指す。調査に当たって事前準備や同日の動きなどで反省も掘り返せば沢山あるけれど、やれてよかったと思う。
ほぼ全員が初対面のような状況で最初は緊張した顔色を感じていたけれど、活動を共にする中でみるみるうちにほぐれていったことを実感した。
マタギ、元村長、医師、大学博士、山岳のプロ、林業、ライター、釣り愛好家、地域おこし協力隊など…。それぞれがそれぞれの得意分野を活かしあい、調査は真剣に、夜は楽しく、夢中で3日間を駆け抜けてきた。
こんなにもステキな仲間を引き寄せたのは大鳥池・タキタロウのおかげであるし、遠い昔からタキタロウのことを追いかけ続けてきた大鳥人、旧朝日村、鶴岡市のおかげ。
限界集落と言われて久しい大鳥ですが、独自の歴史・文化とロマンを持つ人たちが今にまで繋がってきたこと。これが今回の僕たちを繋げてくれた紛れもない事実だと思う。
今回のタキタロウ調査と30年前の調査が線で繋がった。この線を決して消さないよう、大鳥の歴史として太く、長く紡いでいきたい。
終わりに…
全国から集まってくれた皆さんへ。
僕のつたない言葉では伝わらないかもしれませんが、精一杯の気持ちを込めて…。
大鳥の人が喜んでくれました。地域が盛り上がってくれました。目には見えにくい部分だけど、一番に大切なことをみなさんから頂きました。
本当にありがとうございました。また、語り合いたいですね。
大鳥の皆さんへ。
皆さんが今の今まで、大鳥で生きてこなければこんなステキな出来事自体があり得なかった。大鳥の歴史と文化、そしてロマンを守り続けてくれてありがとうございました。こんなにも胸を躍らせる機会を頂けたこと、死ぬまで忘れません。
夢中。
まさに夢の中。
またこんな夢を大鳥の人たち、また、大鳥に関わってくれる人たちと一緒に見ていきたい。
今回の調査の参加者で、ライターさんでもある玉置さんがデイリーポータルZというサイトで今回の調査の記事を書いてくれたのでこちらもぜひ覗いてみてくださいね♪
伝説の巨大魚、タキタロウ調査隊に参加してきた - デイリーポータルZ
せば、またの。