ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

企画展『ぜんまい小屋の営みかた』を大鳥のタキタロウ館で行います。

2017/08/12

ども、田口(@tagu_h1114_18です。

大鳥にあるタキタロウ館という観光施設で、大鳥民俗のパネル展示を行います。

テーマはぜんまい小屋とその暮らし。

※“ぜんまい”というのは山菜の一つで、多年草。大鳥では5月中旬くらいからぜんまい採りが盛んになる。乾燥させたものは今でも1kg=1万円前後で取引される。東北の山奥の地域にとってぜんまい採りは今でも重要な生業の一つ。

 

ほんの数十年前まで、大鳥地域では山奥で小屋を立て、1か月間も泊り込みでぜんまい稼業を営んでいた。鍋・釜・食糧を背負って小屋に上がり、毎日早朝から夕方までひたすらぜんまいを採り、乾燥させては小屋に溜め置き、ぜんまいシーズンが過ぎると100キロ以上ものぜんまいを背負って集落に帰る。

大鳥地域の生業として重要な位置を占めていたぜんまい採りは、小学校では「ぜんまい休み」というのがあるくらい、公式に認められていた。子供がぜんまい採りに参加すると言うよりは、親がぜんまい稼業で忙しく、自宅では子供の面倒を見れないから山小屋に連れて行くという理由。ぜんまいで稼いだお金は多い人で100万円以上にものぼり、そのお金をもって家を建てた、なんて話も聞きました。

 

会社勤めが当たり前になった現代では、山の生業である狩猟・採集、はたまた木伐りを行う次の担い手が極小であり、間伐や山道の草刈りなどの山の維持管理が行き届かなくなっている。それに対し、ほんの数十年前までは山の維持管理もしながら資源(森林・山菜・茸・木の実・動物・魚など)を最大限に利用して金銭に変えて暮らしを営んでいたという事実があった。それを「時代が変わったから」という言葉や、「昔はこうだったんだなぁ」というノスタルジーだけで片づけてしまうには空しいような気がして。地域の人から話を聞かせてもらう度に「そんな活用をする知恵があったのか。」と僕は嬉しくなるし、地域が確かに歩んできた歴史は、いつか何かの役に立つんじゃないかなぁ…って思う。

タキタロウ館の地下1階に、こんな感じで6枚のパネルを展示しています。

鶴岡在住で写真家の太田威(おおたたけし)さんが昔大鳥でぜんまい小屋を取材した時の写真や本間かりんが大鳥で描いたスケッチブック、東北芸術工科大学の学生たちが作った"大鳥ブックレット"、僕が作った大鳥民俗誌"大鳥の輪郭"も置いていますのでじっくり見ていってください。

 

パネル展示に取り組んだのは、東北芸術工科大学出身で、現在は山形大学の大学院に通いながら絵を描く本間かりんと、僕との二人。調査に関わってくれた大鳥の人には本当に感謝です。

2018年の春までは展示しようと思っていますので、大鳥に足を運ぶ際はぜひタキタロウ館に立ち寄ってみて下さい。

 

大鳥民俗パネル展示概要

テーマ:ぜんまい小屋の営みかた (B1サイズのパネル6枚を展示)

展示期間:2017年8月中旬~2018年6月頃まで

展示場所:タキタロウ館 地下一階(〒997-0622 山形県鶴岡市大鳥高岡55−8 電話番号:0235-55-2452)

タキタロウ館の開館日:5月~11月の火曜~日曜日

※月曜日が祝日の時は火曜日が休館となります。その他不定期で休館することもありますので、パネル展示をメインの目的で大鳥に来る場合は予めタキタロウ館に電話して確認するのが確実かと思います。

 

せば、またの。

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