ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

山形県鶴岡市の山間部、大鳥地域と行沢地域の生活文化を汲んだ『栃の実手ぬぐい』をタキタロウ館にて販売中。

大鳥と行沢地域の栃の実文化をイメージして描かれた手ぬぐい。

描き主は東北芸術工科大でお仕事しながら絵描きをしている浅野友理子さん。かれこれ朝日に4年間通い、栃の実文化を中心としてフィールドワークを重ね、生活文化を学びながら自身の描く絵にもその片鱗を反映させてきたと思われる。

 

僕の暮らす山形県鶴岡市の朝日地域(中山間地域)の中でもとりわけ、行沢や大鳥は栃の実を灰汁抜きして利用する文化が残っている。秋に拾っておいた栃の実の皮を天日干ししておき、12月にもなったら皮むきをして灰汁(アク)抜きをし始める。灰汁が抜かれたら餅と混ぜて"栃餅"を作ったり、"とちあられ"というあられのお菓子を作る。言葉で説明するのは簡単だが、実際に行うとなれば工程が非常に長く、手間数が多いことで山人はみな共通認識を持つ。

今年に入ってから大鳥にフィールドスタディーに何度か来ているイタリア食科学大学の学生に聞いたところ、イタリアにも栃の実はあるらしいが、食べる慣習はないのだとか。灰汁抜きという文化がイタリアには無いのかも。

手ぬぐいに描かれた「栃の実を拾うおばあちゃんの姿」から、灰汁抜きまでの作業工程やお正月に栃餅として食べられる食卓風景、手間数が多く苦労するがそれでも毎年栃の実を利用し続ける、と言う姿勢までもを想像するには難しいけれど、それを自分の足で稼いで少しずつ学んだ上で描かれた浅野さんの"栃の実手ぬぐい"はカワイらしくもあり、民俗調査を重ねている僕にとっては栃の実文化を伝える手法が昇華されたような印象を受ける。

 

タキタロウ館で5枚仕入れた栃の実手ぬぐいは、宣伝をしないまでも1週間で売り切れてしまい、新たに4枚入荷しました。

価格は1,000円。

すぐに無くなってしまう可能性が高く、次の入荷時期も未定。どこででも買えるものでもなさそうなので、欲しい方はお早目にタキタロウ館に足をお運びくださいませ。(タキタロウ館の開館日:5月~11月の火曜~日曜日 ※月曜日が祝日の時は火曜日が休館となります。その他不定期で休館することもありますので、大鳥に来る場合は予めタキタロウ館に電話して確認するのが確実かと思います。)

タキタロウ館 電話番号:0235-55-2452

 

写真のモデルは我が大鳥のビーナス、工藤静代さん(タキタロウ館の館長)

また、本日より『東北画は可能か?』という展示イベントが鶴岡のアートフォーラムにて約一か月間、開催されています。浅野さんの作品もそちらに展示されているらしく、大鳥に関わる事も展示があるらしいので、僕も見に行こうかなと。

せば、またの。

-民俗・文化

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