ひろろーぐ

小さな山村で暮らしながら、地域社会、民俗、狩猟、採集について考察・再定義するブログ

「人口減少がヤバイ!」なんて言っている暇があったら、目の前の一人の役割・技術を継承していくべきなんじゃないの?!

2015/05/12

人口減少や少子高齢化が問題だ!と叫ばれて久しい…。

けれど正直言って、「そんなことを本気で言っている人が何人いるの?」って思うのです。

 

ども、田口(@tagu_h1114_18)です。

 

地方はどこも人口が減っています。

その反面、東京や大阪、名古屋、福岡などの都市部の人口は今のところ増えています。

ステレオタイプな言い方をすると、都市には仕事があるから、地方の若者は都市に出ていく。最近では、地方を目指す若者も徐々に増えていますが、天秤にかければまだまだ都市部に流れ込む人たちのほうが圧倒的。

 

そんな、地方の人が徐々に減っていく状況をマスで見て、「このまま人口減少していくと、自分の住んでいる地域はダメになる!」「地方創生で地方に人を呼び戻そう!」みたいに鼻息荒くして叫ぶ人に違和感を感じるのです。

 

確かに、僕も「2050年には人口が9,000万人になるって国土交通省のデータでは言っている。」とか言います。けど、なんとなく自分の未来の立ち振る舞いを考える時に使う程度であって、別にその数字の減りようを憂いてはいない。

僕は市長でもなければ県知事でもないので、「人口減少」することよりも、目の前の一人がいなくなるほうがよっぽど問題なのです。

 

冒頭から波紋を呼びそうな切り口で話をしましたが、ここまで読んだからには最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 

限界集落に見る、一人一人の役割。いなくなることで困る人が現れてくる現実。

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僕の住む大鳥集落は、人口84人、高齢化率70%です。

つまり、顔をみればお互い誰なのかが当たり前のようにわかる。

 

そして、高齢者ばかりの地域なので、毎年のように知っている人が亡くなっていく…。

 

去年は一人、一昨年も一人亡くなった。

 

一昨年に亡くなった人は、商店を営んでいた。(ここでは仮に、A商店とします)

A商店は、さびれた商店だった。置いているものは長期保存が効くお菓子やお酒、ジュース、塩、自動販売機くらいのもの。店内もごちゃごちゃしているし、掃除も長いことされていないような様子でまるで商売っ気が無い。

だから、わざわざ街場から買い物しにくる人も少ないし、商売繁盛している様子なんて丸っきりない。

 

けれど、その人が一昨年に亡くなったあと、地域内では「困ったなぁ~」という声が上がっていた。

僕が住む大鳥地域内には、元々2つの商店がある。その1つが無くなってしまった。置いているモノは似たようなモノでもあった。

 

だからと言って、「もう一つの商店に行けばいいじゃん」という話では済まなかった。

 

A商店の近所に住んでいる人は、なんやかんや歩いてその商店に行ってはお酒を買ったり、お菓子を買ったり、お喋りをしに行っていた。

けれど、A商店がなくなったことで、少し離れた商店まで行かなければいけなくなった。それに、前にあった商店の店主とお喋りするのが好きだった人だっていただろう…。

 

大鳥地域を例にとるのは少し極端かもしれないけれど、結局はそういうことなんだと思う。

人口減少がいくら叫ばれていても、僕は実感がわかない。けれど、地域の人が一人亡くなって困ったなぁ~…という現実は、すごく実感が湧くし、わかる。

僕も、A商店の店主のところへ行っては缶コーヒーを買って、長話しをしていたから…。

 

人口減少とか少子高齢化というぼんやりとした言葉に踊らされず、目の前の一人の役割をしっかりと見つめ、一つずつ継承していくこと。

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僕の住む鶴岡市では、転出したり、亡くなったりして、人口が毎年1,000人減っているらしい。市役所で市民税とにらめっこしている人は、毎年税収が減っていくことを見て、少しは実感があるのかもしれないが、僕は正直言ってよくわからない。

 

けれど、僕の家族や親しい友達が亡くなったら心底悲しいだろう。その人が、精神的であれ、ビジネスパートナーであれ、お客さんであれ、僕が生きる上で大きな役割を担ってくれているから。

 

地域も同じで、地域の人はそれぞれが何かしらの役割を担っている。その人がいなくなると、地域のとある人への仕事が増えたり、お祭りごとなどを辞めなければいけなくなる。

この連続が、地域の衰退であり、遠い延長線上にあるのが人口減少問題だと思う。

 

そして、身近な人は、今、当たり前のように生きているけれど、あの人がいなくなったら木を切れる人がいなくなる。仮にいなくなってしまっても地域が途絶えないよう木を切れる継承者を募らなきゃ、育てなきゃ…。

これこそが、人口減少対策だと思う。

 

税収が減るとか、GDPが減るとかを頭に入れておくのはいいけれど、そんな大きな世界に振り回されることなく、今、目の前にいる一人の役割をしっかりと認識し、その人が担ってきた役割をカバーできる人を、一人ずつ確保していくこと。

パン屋さん、民宿、商店、デザイナー、音楽家、陶芸家、料理家、猟師、林業、農家、学校の先生などなど…。

担う人は、地域内の人でもいいし、外の人でもいい。

名指しで地域の役割を分担し、未来に紡いでいけたらステキだなぁ…って思います。

 

せば、またの。

 

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